駅間が遠い“JR中央線”が期待できる理由
東京に目を移すと、人数が多いこともあって新陳代謝が激しくはなるが、需要が半減するようなことはなさそうだ。
ただ、駅によっての盛衰はあるだろう。その際、ポイントになるのが、駅と駅の間隔だ。たとえば、中央線は駅と駅の間隔が広いため、ひとつの駅が抱えている人口が多い。そのため、駅前の需要は大きい。
一方、私が住む井の頭線のように、駅から隣の駅が見える距離、500メートルくらい(長くても1キロメートルくらい)しか駅と駅が離れていない路線の場合、ひとつの駅が抱える人口がどうしても少なくなる。
そうすると、駅前という好立地にもかかわらず、需要はあまり見込めない。だから、駅前に店を開いてもすぐに潰れる。
いくら人口が多い東京といっても、ピンポイントで生き残るところ、ダメなところ、全滅するところといったように明暗がはっきりしてくるのだ。
もう「東京全体」「日本全体」では語れない
2020年夏はコロナで東京への転入者数が急減したことが話題になったが、この傾向が今後も続くかはわからない。当面の間はわざわざ用もないのに東京へ引っ越す人は少なかろうが、それがそのまま地方在住者の「東京に行く必要はない」「ずっと地元で暮らそう」という気分につながるかといえば、そこまでではないかもしれない。
東京一極集中を軽減させる芽があるとすれば、東京への流入減よりも、在宅勤務やリモートワークを経験した人々の「別に東京にいなくてもいい」「地方に移住してみたい」という新たな感情のほうであるような気がする。
いずれにせよ、都内でも駅単位、都市単位で優勝劣敗が決まっていくわけで、これからは東京全体で考えるとか、日本全体で考えるというのはだんだん難しくなるだろう。
地球の歴史においても、全部がダメになるとか、全部が栄えることはなかったように、モザイク状に盛衰が決まっていくだろう。
経済やビジネスをマクロではなく、個別に考えていくには、世界の政治経済という視点に加え、地域や町の知識が必要になる。