JALやANAは生き残ってもLCCは全滅する可能性

たとえば航空産業。JAL、ANAあたりは、国民の足としてなんとかがんばるだろうが、LCCは全滅する可能性だってある。そもそもインバウンドの需要が見込めないとなると、Airbnb系の民泊ビジネスがダメになって、たとえLCCで旅行客が来ても泊まる場所がなくなってしまう。

彼らには、ホテルオークラに1泊するのに5万円を出す理由もキャッシュもない。そうすると、来日客が減るという負の循環が生まれるだろう。

もちろん、日本だけの話ではない。航空機の製造に関わる労働者人口が何十万人といるアメリカにとっても、受け入れがたい状況だ。製造ではなく、運用側である航空会社従業員と関連企業で100万人くらいいるとして、彼らが長期的に失業する可能性は大いにある。つまり、全世界の航空産業が今危機にあるということだ。

こうしたことがそこらじゅうで起こり、その予想も対策も個別にやっていくしかない。

インバウンド頼みだけでは生き残れない

国内航空各社の予約率が前年比10%前後になったり、減便率も一時5割に達したように、航空業界が厳しくなれば、旅行産業、観光産業も厳しくなる。

2020年6月の日本の主要旅行会社の取扱額が、日本から海外への旅行、海外から日本への旅行がともに100%近い減少率となったことからも明らかなように、壊滅的な影響を受けている。

インバウンド需要の激減
アフターコロナの生存戦略』(KADOKAWA)より

さらに、酷なことをいうようだが、インバウンドを頼みにしていた観光地は地域ごと地盤沈下してしまう可能性が高い。もちろん、現場レベルでは知恵を絞って対策をするだろうし、政府のGo To トラベル政策なども一定の効果はあるだろう。

しかし、新型コロナが消え去らない限り、昔、隆盛を極めた三井三池炭鉱がダメになってしまったように、世の趨勢に抗うのは難しい。