【Before】
(1)相手が週にいくつも商談を受けている場合、何のお礼なのか、すぐに思い出せない可能性がある。何のために時間を取ってもらったのか、新製品とは何かを具体的に書く。
(2)押し付けがましい印象を与える。「お時間がありますときに」などクッション言葉を入れて緩和したい。
(3)自分の希望ばかりが強調され、依頼状のようになっている。お願い事をするにしても、相手のメリットにもなる内容にする。
(4)これだけでは、どんな相手宛の手紙にも使えてしまう。なぜその先生でなくてはいけないのかを明確にすれば、ありがたく思っている感謝の気持ちも伝わる。
【After】
(1)お礼内容は具体的に振り返る…具体的な固有名詞を入れることで、以前会ったときのことをすぐに思い出してもらえる。印象に残るお礼状になり、自分の売り込みにもつながる。
(2)感謝の気持ちはやわらかい表現で…「商品への支持」より「コンセプトへの共感」のほうが、気持ちが通じた商談だったことを表現できる。何度か会った相手に喜びを伝えるなら、「光栄」などより、「うれしい」を使ったほうが、親しみある文章になる。
(3)意気投合した内容を再確認…お礼状のキモは相手との接点を自分なりに表現すること。商品をさらに押すのではなく、共感を得られた点について、こちらの熱意を改めて伝えることで相手の気分を盛り上げることができる。
(4)「感謝」にもうひとつ意味を込める…医療機器を贈った際、マザー・テレサから和地氏に届いたお礼状には「これら(薬や医療機器)を通して、神様はたくさんの愛を示してくださいました」とあった。直接の感謝に加え、「縁」や「運」といった人知を超えた力への感謝も示すと、気持ちの深さが伝わる。
(尾関裕士=撮影 溝上憲文=構成 横田良子=事例作成)