「理解できない人間」もいることを理解しよう

報告・連絡・相談をするようにいくらいっても、なんの相談もなく勝手なことをする。あとでわかるたびに注意するのだが、いっこうに直らない。ホウレンソウがいかに大事かをしつこいくらい説明し、そのつど「わかりました」というのだが、結局、わからないようなのだ。

そこまでこちらの言葉を理解しないくらいだから、冗談も通じない。曜日によって違う相手とペアを組んで仕事するという人が、「冗談がまったく通じない人がいて、他の人だと楽しく盛りあがるのに、『そうなんですか』のひと言で終わってしまい、つまらない」とこぼす。その人物は、相手のいうことがよく理解できず、話題についていけないのだ。

思いこみが激しく、「ものすごく鈍感」

自分の理解不足なのに、相手が悪いといって逆ギレすることもある。とにかく勘違いや思いこみが激しいため、相手のいうことがわからず、適切な対応ができない。自分の説明がおかしいのに、「それじゃ、わからないのですが……」と客から聞き直されると、「だからさっきから何度もいってるじゃないですか!」などと乱暴な言い方をする。そこで、説明が悪いのに気づいた同僚が間にはいって、客に謝罪しつつ正確な説明をすると、客はすんなり納得する。それでも、本人は自分の説明が悪かったとは思わない。これだけ状況証拠があっても、自分の不適切さに気づけない。それほどまでに理解力が乏しいのである。

このような人物を相手にしていると、話が通じず、こっちの意図も通じないため、ほんとうにイライラしてくる。このタイプを教育しないといけない立場の人は、なかなか思うようにいかないため、イライラと無力感に苛まれ、体調を崩すなどという場合も少なくない。この人を相手にするのはもう無理だと感じ、退職まで考え始めた人もいる。それほどまでに、このタイプの図太さは強烈なのである。

オフィスでミーティング
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このタイプの特徴は、圧倒的な“鈍感力”にある。

たとえば、上からの指示をことごとく受けとめ損ねるため、周囲はイライラしているのに、本人はまったく悪びれた様子もなく、「なにをいってるんだか、さっぱりわからない。もっとわかるように指示してほしい」などと文句をいう。あくまでも相手がおかしいと思っているのだ。ちゃんと指示どおりに動かないため、上司がイライラしたり怒ったりするわけだが、「あんなにイライラすることないのに。指示もしないで怒るんだから、嫌になっちゃうよ、まったく」と、上司のことを突き放すように嘆く。