コロナショックにより、これまでの働き方の「あたりまえ」が崩れ、どう生きていくかを問い直されています。そんなときに問われるのが「Being(ありたい自分)」ではないか――。「プレゼンの神」として知られる澤円さんはそう言います。
新著『個人力』(プレジデント社)は本の要約サービス「フライヤー」の要約公開後、週間ランキング1位になるなど、読者から大きな反響がありました。私たちが「ありたい自分」を核にアップデートを続けるにはどうすればいいのか。澤さんにこれからの時代の人生戦略を聞きました。

※本稿は、フライヤーの掲載記事<「あたりまえ」が揺らぐなかで問われる「個人力」とは?>を再編集したものです。

人間の「本質」があぶり出されやすくなっている

コロナショックによって、いままさに世界中で、インターネット登場以来の大きなリセットが起きています。

かつてインターネットの登場は、人々の行動様式や経済活動のリズムだけでなく、マインドセットを劇的に変えました。今回のコロナショックでは、さまざまな制約のなかで、有効な治療法やワクチンのない「見えない敵」との戦いを強いられています。そこでは、人間の「本質」があぶり出されやすくなっている。同時に、「どう考え、どう行動したいのか」という問いと、愚直に向き合うことが求められているのです。

これまで会社勤めなら、生き方や働き方について深く考えなくても、仕事の「あたりまえ」に乗っかっていればよかった。満員電車に揺られて朝9時に出社し、夕方5時に退社。これで働いたことになったわけです。ところが、三密を避けるために出社が禁止され、これまでの常識が一気に崩れた。そこで、どうしたらいいのかわからず、自分を見失ってしまう人が世の中にあふれたのではないでしょうか。

そんな現在は、ビジネスのエコシステムを再構成し、いままでと違うやり方に挑戦できるチャンスでもあります。物理的な制約はありますが、インターネットを通じてなら、個人同士が有機的につながり、新しいものを生み出していける。そのとき問われるのが、ゆるぎない自分自身の本質。すなわち、僕が「Being(ありたい自分)」と呼ぶものです。

他者とのズレが気になるのは、キャリアを二次元で考えているから

学歴や肩書きなどを取り払った先に残る、本当の自分。その「Being」を大事にしながら人生を楽しんでいく力を、本書のタイトルである「個人力」と表現しました。「Being」を中心として充実した人生をつくるための思考サイクルは、「Think(あたりまえを疑う)」「Transform(常にアップデートする)」「Collaborate(個として協働する)」という3つの要素から成ります。

もちろん、個を研ぎ澄ませて個人力を発揮したいものの、どこからアップデートしていけばいいかわからないという方もいるでしょう。そうした方に向けて、『個人力』が思考のとっかかりになればいいなと思っています。

澤円氏

これからの時代を生き抜くうえで大事なのは、ありたい自分を言葉にしておくこと。自分の内側から湧き出てくる感情や、「Being」にバカ正直に生きることです。そうすればいつでも原点に立ち戻れるし、生きることに迷いがなくなります。他者とズレていてもまったく問題ありません。

そもそも他者とのズレが気になってしまうのは、キャリアを二次元で考えているから。年齢を横軸、肩書きを縦軸にとるとしましょう。年齢に比例して肩書きも上がっていくべきだと思っていると、役職がなくなったときにショックを受けてしまう。また、自分と同世代で肩書きが上の人がいると、自分とのズレを感じて嫉妬が起きてしまいます。