酒やお世辞が評価につながるという認識をなくすべき
働き方が変わるのは当然だ。在宅勤務やテレワークにおいて核となるのはITソリューションではない。すでに業務をクラウド基盤ソフトウェアで処理し、文書決裁システムや業務用モバイルメッセンジャーを利用している企業も多い。ウェブ会議ソリューションも広く使われている。しかし、これだけあっても仕事はうまくいかない。やはり重要なのは組織文化だ。
非対面の状況でも効率性を保てるフラットな組織文化が必要であり、成果を明確に測定し評価できることが何よりも重要である。自律と責任を強調するアメリカの企業が、在宅勤務を広く受け入れたのもそのためだ。相対評価ではなく絶対評価を行う企業が増えているのも、このような流れと関係している。
対面して酒を酌み交わし、スキンシップやお世辞を通して強まった関係性で評価や人事、昇進が有利になり得るという認識自体をなくさなければならない。業務の成果だけを見て透明性のある評価をするようになれば、社員も効率性と生産性という観点でより良い働き方を積極的に考えるだろう。
技術的・産業的進化のおかげで、もはや人が直接的に人を監視・管理する必要がなくなった。オフィス空間や働き方は私たちが任意で決めたものではない。技術的・産業的進化に社会的進化が加わってできた産物だ。当時としては正しくても、現在においては間違っている部分があるものだ。
IT関連企業は新たなチャンスだが…
新型コロナウイルスは韓国企業にとどまらず、世界中の企業に在宅勤務の必要性を認識させ、非対面での共同作業を支えるウェブ会議をはじめとしたITソリューションに対する需要を高めさせた。クラウド基盤の業務用チャットツール「スラック」(Slack)を提供するスラックテクノロジーズ(Slack Technologies)や、ウェブ会議ソリューション「ズーム」を提供するズームビデオコミュニケーションズ(Zoom Video Communications)といった、在宅勤務やテレワークをサポートするITソリューション企業は、コロナ禍で株価が上昇し、新規ユーザーも増えた。特に在宅勤務やテレワークが拡散する中国は市場として注目を集めている。
在宅勤務の拡散は、関連ソリューション企業にとっては新たなチャンスとなるが、オフィスを中心とした業務環境の恩恵を受けてきた一部の領域にとっては危機になる。変化は危機とチャンスを同時に招くものだ。また、想定外の突発的な変化が起こる可能性もある。