1年に5万〜6万人しか生まれない予測

2017年と2067年の年齢別人口の変化をみると、65歳以上は、50年間で1120万人ほど増える。人口が減るのはもっぱら65歳未満で、この層が今後およそ2327万人減ることになる。

2017年の韓国は、高齢者を多くの現役で支える「人口ボーナス(bonus)」社会だった。それが2067年には、高齢者を少数の現役で支える「人口オーナス(onus)」社会へと移行することになる。オーナスは重荷や負担を意味する言葉だ。

2017年に3757万人だった15〜64歳の生産年齢人口は、50年後の2067年には1784万人に半減する。韓国は、この現役世代の減少幅が日本よりも大きい。総人口が減少するなかで、65歳以上が増加することになるため、総扶養費の負担は格段に重くなる。

2017年には65歳以上の高齢者ひとりを、15〜64歳の現役世代5.3人で支えていた。ところが2067年には、ほぼひとりの現役世代がひとりの高齢者を支える、いわゆる「肩車型」社会が到来すると予測されている。

また、2067年の年間死亡者数は72万人と膨れ上がるが、同年の出生数は14万人と見通されており、極端な少子化が、高齢化をより加速させる。現状では出生率は予測を上回る低下が続いている。今後は出産年齢人口が激減していくことから、2067年には出生数は年間5〜6万人まで落ち込むという推計もある。

「介護保険」と「老人長期療養保険」

出生数の減少は、現役世代に甚大な影響を及ぼす。高齢者を支える現役世代の扶養負担がさらに増大し、「肩車型」から「重量上げ型」に転じる恐れがある。

世界最高の高齢者率は、低い出生率だけでなく、平均寿命の延びとも関係がある。平均寿命は、2017年の82.7歳(男性79.7歳、女性85.7歳)から、2067年には90.1歳(男性88.5歳、女性91.7歳)になると予測されている。寿命が延びれば、その分だけ生活費や介護費用が必要になり、貯金や資産がなければ破綻する。

韓国は2007年に、日本の介護保険制度を参考にした「老人長期療養保険法」を公布し、2008年から実施している。財政的な負担を最小化するため、日本よりも在宅・施設サービスの自己負担率が高い。高齢化にともない、老人長期療養保険制度の利用者はこれから急速に増加することが予想される。

その一方で、介護の担い手に相当する20〜64歳層の人口は半減していく。単身世帯が増加するなか、すでに家族介護も限界に達している。介護人材不足はさらに深刻化する。

ソウル市がすっぽり消滅してしまう

韓国の総人口はこの先、急激に減少する見通しだ。出生率と寿命を低く見積もる「低位推計」では、2067年に総人口は4000万人を下回り、3929万人に落ち込む。2017年から67年にかけて人口が約1200万人減ると推計されているが、現在のソウル市の人口が約1000万人であることを考えると、ソウル市がすっぽり消滅してしまう激減ぶりである。

さらに2117年には、人口が1168万人にまで低下すると見込まれている。2017年から100年間で、人口規模が現在の5分の1になるという、衝撃的な予測だ。

超高齢・人口減少社会の到来は、経済成長にマイナスに作用する。韓国の国力低下は免れない。次世代の経済・社会の担い手は縮小し、税収入も低下する。年金や医療など、現役世代が高齢者を支える形の賦課方式の社会保障制度は、立ち行かなくなる。社会保証負担の引き上げか、給付を大幅に削ることによってしか、維持できなくなる。

日韓の未来予測を比較すると、直面する未来には共通点が多い。まず、先述したように人口減少は止まらない。日韓ともこれから段階的に、人口の4割近くが高齢者となっていく。さらに世帯規模が縮小し、3人に1人が単身世帯となる。これは未婚率の上昇および長寿化の影響で高齢者世帯が増加し、離別や子どもの独立などにともない単身化が著しく進むためである。