危機を煽る視聴率ビジネスと検査ビジネス

こんなことは、データをちょっとみたらわかる話だ。それなのに何故、テレビや新聞はこんな国際比較をもっともらしく示し、「欧米並みの検査を」「全員検査を」と唱え続けてきたのだろう。

高橋洋一、原英史『国家の怠慢』(新潮新書)
高橋洋一、原英史『国家の怠慢』(新潮新書)

裏側には、視聴率やスポンサーとの関係などの事情もあったのでないかと思う。「日本のコロナ対策はおかしい。これから恐るべき感染拡大が起きるはず」と危機を煽れば、テレビでは視聴率アップに貢献しやすい。

一方で、危機だからといって「経済活動を止めるべき(例えば、旅行は一切ストップすべき)」と唱えるのは、スポンサー(例えば、旅行に関わる企業も多い)との関係で好ましくない。

そこで、「欧米並みの検査を」、「検査さえ増やせば、経済活動を止めずに感染を抑えられる」などと、“検査が魔法の杖”論を振りかざすのがビジネス視点で好都合だったはずだ。さらに、経済活動再開を強く願う経済界や、検査が収益につながる医療機関や検査ビジネスなどの期待に応えた面もあったのかもしれない。

マスコミ報道に歪められた真実

マスコミ報道はこれに限らず、歪められていることが少なくない。例えば、ここ数年の間、モリカケ・桜など安倍政権の疑惑が大きく取り上げられてきた。もちろん政権の対応におかしな点もあったが、根拠の乏しい疑惑報道もしばしばあった。

加計問題では私は政策決定に関わった当事者だったが、私からみて、明らかにでっち上げの“疑惑”追及もあった。それにもかかわらず、こうした“疑惑”が国会で野党から追及され、マスコミ・国会の連携プレーで争点が作られてきた面が否めない。

こうしたマスコミと国会の絡み合う問題や今後の展望についても『国家の怠慢』の中で論じた。関心があればご覧いただきたい。

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