実際、Go To トラベルは、20年8月24日時点で、約200万人のキャンペーン利用者のうちコロナ感染者は1人(登録されたホテル・旅館で判明した人は10人)にすぎず、心配された感染拡大は杞憂となっており、コロナを恐れず、事実上コロナを制した果敢な取り組みだったと言える。
高校卒業後に上京、段ボール工場で働いた
5.世襲議員でなく叩き上げ政治家として国民の生活・境遇を理解していること
菅官房長官は、秋田県から高校卒業後に上京、段ボール工場で働いたところからキャリアをスタート。2年後、法政大学に苦労して進学し、民間会社に就職後、政治家を志して小此木彦三郎衆議院議員の秘書を11年間務めた。
これまでにメディア等で名前が挙がった自民党総裁候補は原則として世襲議員だ。親も政治家、場合によっては祖父も曾祖父も政治家という半ば貴族社会のような有り様だ。同氏はその中で異彩を放つ叩き上げの人物であり、国民と同様に辛酸を舐めて泥に塗れて生きてきた人生経験を持つ。
政治家の秘書、しかも血統的な裏書保証のない秘書は1年間休みもなく働く激務であり、多くの人は3年どころか1年持たずに辞めていく。それを11年間務めたうえで、横浜市会議員となり、国会議員としても修羅場をくぐり抜けてきた精神力は並大抵のものではない。閉ざされた門閥政治の中で、今こそ1人の一般国民が首相になれる道を示すときがきたと言える。
あまり知られていないが、菅官房長官はほぼ毎日のように多くの民間人と朝食会をこなし続けている。これは官房長官になる前から変わることがない習慣であり、安倍政権内部では最も多くの民間人材との意見交換をこなしてきた人物だと言えるだろう。この習慣は多くの国民から人材・アイデアを登用することに役立っているものと思うが、背景には同氏の政治家としての出自が影響しているものと推量する。
以上のように、現在名前が挙がっている自民党総裁候補者の中で、菅義偉氏ほど日本の難局を乗り切る資格を持つ人物はほかにいない。自民党の国会議員が正しい見識を持って次の首相を選ぶことを期待する。