Go To トラベル その本質とは

3.財務省に安易に屈しない中央省庁を横断する幅広いネットワークを有していること

財務省は新型コロナウイルスに対する経済対策のための政府支出をコロナ増税として国民から回収することを虎視眈々と狙っている。既に財務省の御用学者らが新たな増税に向けたアドバルーンを揚げ始めており、日本経済を更なるどん底に陥れるための試みが準備されていることは明白だ。

Go Toトラベルその本質とは
毎日新聞/AFLO=写真

財務省を抑えるためには、他の現業官庁や政権与党に対する影響力を行使し、政府の内外から財務省の動きに抵抗する政治力を発揮することが必要となる。菅官房長官は内閣人事局を掌握し、また過去の政治キャリアから各官庁の官僚らに対して気脈を通じている。これは安倍首相が経済産業省頼みで財務省に対する政治的な抵抗力が十分でなかったことと比較し、菅官房長官が長年にわたって築いてきた政治力との決定的な差異となるポイントである。

そして、自民党の二階俊博幹事長、公明党とのパイプも財務省に対して抵抗する重要な要素となる。また、政治的な友好関係にある日本維新の会との反増税に向けた協力もありうるだろう。もちろん、これは菅官房長官が財務省に対抗する政治行動に出た場合の想定にすぎないが、同氏の過去のキャリアを見る限り財務省系のラインにある人物ではない。

4.国民の生命・財産を守るために剛腕を振るった実績を持っていること

国民の生命・財産を守るために必要なことを断行してきた実績も評価に値する。

直近では各省庁で運用目的が異なるダム群に関する運営管理を見直し、頻発する豪雨災害への治水対応能力を飛躍的に高める措置を断行している。これは関東地域の水害対策で評価された八ッ場ダム(建設約50年・事業費5000億円以上)の50個分の治水効果を生み出す大改革であった。地味ではあるものの、官房長官として培われた省庁横断的な視座が可能にした改革であった。

また、かつて総務大臣就任以来推進されてきた諸改革は、国民生活のコストおよび利便性の改善に繋がる政策として実を結びつつある。最もシンボリックな事例は携帯料金の引き下げに向けた新規参入の促進である。菅官房長官は楽天も含めた携帯各社の競争が進むことで、4割程度の料金引き下げの可能性を過去に示唆している。これは景気悪化で苦しむ家計にとっては大いに助けとなるものだろう。

Go To トラベルは大きな批判を浴びることになったが、経済指標上業績が大きく落ち込んでいる旅行業・飲食業を支援するという断固たる決意は評価したい。筆者はこの手のバラマキ政策がよいとは考えていないが、約900万人の雇用を支える観光業のホテル・旅館の客室稼働率が1割に落ち込んでいる状況では何らかの対応が必要なことは自明であった。