そもそも男性は、あまりマウンティングしないんです。しなくても実力や上下関係が男性同士のなかで歴然としているからだと思います。マウンティングは自分と同じか少し下ぐらいの人に対してするもの。圧倒的に負けていたらしないし、圧倒的に勝っていてもする必要がない。ちょっとしたプチ優越感を得るための行為がマウンティングです。
大和田が半沢に本気でマウンティングするあたり、やっぱり土下座の仕返しをしたいんでしょう。逆に、半沢が優秀で、脅威の存在だと認めていることにもなります。
「遠慮はいらないよぉ? 岸川部長。思ってることを正直に言いなさい。」
前シーズンの最終話。取締役会で大和田の不正を告発しようとする部下の岸川(森田順平)に発した威圧的なセリフ。岸川は言葉を失うも、半沢の後押しにより不正が露呈。大和田は、この後土下座をした。
「遠慮なく言いなさい」と口では言ってるものの、その裏には「言ったらただじゃおかないからな」という意味を持たせた、恫喝、脅迫です。大和田は、部下が絶対に自分に逆らわない、圧力に弱い人だと思っている。
大和田は支配することにより人間関係を構築しています。だから恫喝的な言動が出てくるし、だからこそ裏切られやすい。
今シーズンも、部下の伊佐山(市川猿之助)に裏切られましたよね。心理学には「同属性の法則」というものがあります。わかりやすく言うと「類は友を呼ぶ」。権力志向が強い人の周りには同じ権力志向の人が集まるわけです。
だから伊佐山は、尊敬する大和田を捨て、大和田より優位だと思った三笠(古田新太)に鞍替えするわけです。
力の理論で、伊佐山は大和田と同じタイプの人間。大和田を裏切ったように見えるけれど、伊佐山の理論では筋が通っている。皮肉なのは、大和田も同じ考え方で生きてきたことなのです。
見えてきた大和田という男の本性。次回以降も要注目です。
(構成=力武亜矢)