国際社会で孤立する中国に歩み寄る韓国

現在、中国と欧米諸国などとの関係悪化が顕著になっており、国際社会において中国が孤立する構図が鮮明化している。米国のトランプ政権は今年11月の大統領選挙を控えて、中国の「国家資本主義体制」に対する制裁強化に動く。欧州各国や日豪、さらにはベトナムやインドなどは、中国の人権や香港の問題、領土紛争、南シナ海への中国の強引な進出に警戒感を強めている。

2020年8月15日、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典に出席し、万歳三唱をする韓国の文在寅大統領
写真=AFP/時事通信フォト
2020年8月15日、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典に出席し、万歳三唱をする韓国の文在寅大統領

中国は経済成長の限界に加えて、新型コロナウイルスが社会心理を悪化させており、習近平国家主席の求心力はやや低下している。国際社会において、同氏はさらなる孤立を避けたいと考えているはずだ。

そのために、共産党政権はカンボジアやラオスなど、比較的安定した親中政権のあるアジア外交に注力し始めている。中でも重視しているのが韓国だ。米国の同盟国である韓国を自陣に取り込むことができれば、経済面に加え安全保障面でも中国が対米で相応の有意なポジションを持つことができる。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米中両国と等しい距離感覚で対応し、自らに都合よい状況を作り出せると考えているようだ。その姿勢には不安な部分もある。韓国が真剣に対中関係の修復に進むとなれば、米国はその姿勢を問題視し厳しい態度をとるだろう。

今後、韓国の文大統領がどのようなスタンスで米国・中国との関係を続けるのかが注目される。