他人を変えるより自分を変えたほうが早い

私はフリーランスで本づくりを仕事にしています。そのため、どこの出版社さん(編集者さん)と本を作るかで、条件(金銭面など)・作業量(外部の方に作業を依頼できるかなど)・やり方(編集方法など)が毎回激変します。

ある時はものすごいスケジュールで仕事を依頼されたり、ものすごい理由で仕事がなくなったり……環境の変化や問題に毎日直面しているようなもの。そんな中、「相手が悪い」と思うことが起きても、できる限り自分のやり方・考え方を変えることで解決を図り、お互いに気持ちよく仕事ができるように心がけています。

ただ、これは決して私が「いい人」だからではありません。他人を変えるより、自分を変えるほうが結果的に早いからです(ドライな人間ですね)。特に歳をとればとるほど、だれでも自分のやり方・考え方が固まり、人に指摘されて変わるのが難しくなるもの。そういう意味でも、自分の力で他人を変えるのはかなり難しいことなのです。

「余裕があるほうが譲る」という関係を築く

サバクトビバッタやオオムラサキの幼虫のように、まずはその場の状況や相手に合わせて、自分を柔軟に変えてみることが大切だと思っています。

サバクトビバッタの自己紹介
イラスト=じゅえき太郎

もちろん、今までの自分の生き方を貫くか、劇的に変えるか、「どちらが正しい」という答えはありません。ただ、「自分の力で一番変えやすいのは自分自身」というのは間違いなさそうです。

ペズル『もしも虫と話せたら』(プレジデント社)
ペズル『もしも虫と話せたら』(プレジデント社)

そう考えると、今までの自分を強引に押し通したり、他人を責めたりするのはあまり得策ではないのかもしれません。実際私も、「私は変わらなくていい。あなたが変わるべきだ」と思ったまま問題と向き合った時は、たいてい悪い結果につながってしまうので。

長い目で見れば、自分が気づかないまま周りに迷惑をかけていることもたくさんありますし、「余裕があるほうが譲る(変わる)」という関係を周りと築けるのが理想的ですね。

生き物として約5億年先輩である昆虫の生存戦略は、新型コロナによる環境の変化に直面する私たちに生きるヒントを与えてくれます。