「学校を辞める」か「校則を変える」かは自分で選べる

【田村】私が見てきた大物政治家たちも、たしかにそうでした。みんな信念がある。なぜ信念があるかといえば、自分の道は自分で決めているからです。

田村重信『気配りが9割 永田町で45年みてきた「うまくいっている人の習慣」』(飛鳥新社)
田村重信『気配りが9割 永田町で45年みてきた「うまくいっている人の習慣」』(飛鳥新社)

【小泉】私が自分のことは自分で決めると考えたのはいつからなのかと振り返ってみると、中学生のころでした。当時、学校の校則が面倒臭いと感じていました。制服や髪型に細かい決まりがあるからです。好きなようにすれば良いのではないかと感じて、家でも校則はおかしいのではないかといっていたのです。すると私の話を聞いていた叔父が以下のようにいいました。

「お前が希望してその学校に入ったのだろう。どうしても嫌なら辞めればいい。辞めたくないなら、お前が校則を変えろよ」

こういわれて腑に落ちたのです。そのとおりだと。先述のとおり、小学校から関東学院に通っていたから、自分の意思というよりは、親が決めたのだとは思います。しかし、中学校、高校と進学したのは、間違いなく私の意思です。嫌なら高校に進学しないという選択もできたわけですから。だから高校に通うのも辞めるのも自分次第。でも私は退学するつもりはなかった。だったら自分で校則を変えるしかないと、そう気がついたのです。このときの経験は、いまも強烈に心のなかに残っています。

誰かに相談することは最大のデメリットも生む

【小泉】わたしは以前、ある学生から進路について相談をされました。学生の両親も同席していました。話によれば、大手企業二社から内定をもらったといいます。そのうち一社はグローバルに展開している会社で、業務内容も幅広い。もう一社はローカルに根付いた業務を行っている会社でした。

その学生は後者の会社に興味があるようでした。しかし、両親は将来のことも考えると、グローバルな企業のほうが良いのではないかと考えていた。そこで私はどう思うかと相談してきたわけです。

私の答えは簡単です。「あなたが自分で決めることだよ」と。両親の前でこんなことをいうのは申し訳なかったですが、「親のいうことを聞くのではなく、自分で決めなさい」といいました。確かに両親の考えも理解できます。業務が幅広ければ、もしその会社を辞めても潰しが効くことでしょう。それも大切なことだと思います。

入社後、良い環境で仕事ができたら万々歳です。しかし、親のいうとおりにグローバル企業に入社して、もし上司や同僚とうまくいかなかったらどうなるか。きっと親のせいにするでしょう。「俺はこんな会社に入りたくなかったのだ」と。ところが、もし自分で決めていたら、たとえうまくいかなくても、自分で選んだ道なら誰かのせいにしない。だから自分のことは自分で決めたほうがいい。