PCR検査と抗原検査をうまく組み合わせて実施すべきだ

次にPCR検査について書いた読売新聞の社説(8月1日付)を読んでみよう。見出しは「PCR検査 拡充が感染抑止につながる」で、書き出しは「新型コロナウイルスの感染者が1日1000人を超える水準で推移している。これ以上の広がりを抑えるためPCR検査の拡充を急ぐべきだ」とある。そしてこう主張する。

「政府が感染状況を把握し、対策を立てるのにも重要である」
「感染が流行し始めた頃は、検査が追いつかず、国民の間に不安が広がった。現在、検査能力は1日約3万5000件まで増えたが、まだ十分とは言えまい」
「できる限り検査体制を強化し、必要な人がスムーズに検査を受けられるようにしてほしい」

どうやら読売社説はPCR検査の拡充に賛成のようだ。実際のところ、日本ではインフルエンザの簡易迅速診断キットがかなり普及したために、PCR検査の拡充に力を入れてこなかった。PCR検査の費用の高さも拡充の障害となった。

簡易迅速診断キットはウイルスに反応するタンパク質を調べる抗原検査で、被検者が結果を確認できるまで数日かかるPCR検査とは違い、30分ほどで感染の有無が判別できる。ただし、偽陽性や偽陰性が出る割合が高い。

PCR検査も抗原検査もそれぞれ利点と欠点がある。この2つの検査をうまく組み合せることが肝要だと、沙鴎一歩は考えている。PCR検査だけに頼る感染予防対策はかなり偏っている。被検者が検査結果を正しく捉えることができないと、不安を増大させ、混乱を招いてしまう。

ビル・ゲイツ氏は「PCR検査は全くの無駄だ」と明言

読売社説もPCRの問題点を「もちろん機器や要員には限りがあり、希望する人全員を対象にすることは現実的には難しい」と指摘したうえで、こう書く。

「そのため、政府は、PCRより素早く結果を得られる簡便な抗原検査を組み合わせるなど、効果的な検査戦略を練るべきだ」

「簡易な抗原検査との組み合わせ」というのは沙鴎一歩の主張と同じだが、見出しからすると読売社説の主張の根底にはPCR検査の拡充があるのではないか。つまり拡充によって感染の状況を把握できれば、結果的に国民の不安が解消できるという論理である。

最近、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がPCR検査についてCNNテレビなど複数のメディアのインタビューでこう答えていた。

「判明までに平均4.27日と時間がかかり過ぎる。感染者がこの間に感染を広げる恐れがある。PCR検査は全くの無駄だ」

判明までの時間だけでなく、PCR検査を受けた直後に感染する可能性もある。ビル・ゲイツ氏のように「無駄」とまでは言わないが、結果が陰性でも安心には結びつかない。そのことを周知していく必要がある。

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