政府を批判しつつ、自治体はかばう巧みな書き方だが…
そう考えて続きを読むと、案の定である。朝日社説お得意の安倍政権批判が待ち構えている。
朝日社説は「この間政府は、検査を幅広く行った結果が数字を押し上げているが、医療体制は逼迫していないと説明してきた。だが人工呼吸器を必要とする重症者は7月半ばから増加に転じた。病床の準備には時間がかかるうえ、病院経営のさらなる圧迫につながることなどから、専門家や医療現場からは政府の認識の甘さを指摘する声が相次ぐ」と指摘する。
都道府県などについては「多くの自治体は対応に追われる。沖縄県は独自の緊急事態宣言を出し、県民に不要不急の外出や県をまたぐ往来の自粛を求めた。東京都は酒類を提供する飲食店などに営業時間の短縮を、大阪府も地域・業種を絞って休業や時短を要請する」と書いたうえで、こう主張する。
「地域における流行や医療の状況を踏まえ、試行錯誤を重ねながら最適解を見いだすことが大切だ。今年春から初夏にかけての第1波の時と同じく、あるいはそれ以上に、知事を始めとする自治体の力量が問われる。いわゆる3密の回避など、感染リスクを避ける行動を一人ひとりが心がけ、実践していく大切さは言うまでもない」
政府を批判し、一方で自治体をかばう。ここも実に巧みである。朝日社説らしさでもあるが、どうもこのあたりが沙鴎一歩には鼻につく。
私たち「国民の不安」を煽っているのはどちらか
朝日社説は書く。
「一方、政府の動きはいかにももどかしく、頼りない」
「緊急事態宣言の解除後、検査や保健所の態勢強化にどこまで本気で取り組んだのか。今後どんな戦略を描いているのか。強行した『Go To事業』をどうするのか。自治体からは休業要請などとセットで出す協力金について、国の補助を求める声があがる。どう応じるのか」
確かに「Go Toキャンペーン」は拙速だったところがある。しかし、経済・社会活動の振興と防疫の両立はきわめて難しい。一方的な批判ではなく、建設的な対案が必要だろう。
続けて朝日社説は「こうした疑問にしっかり向き合わず、説明から逃げる姿勢が、社会の不安と不信を深めていることに気づくべきだ」と主張する。しかし私たち国民の不安を煽っているのはどちらだろうか。政府批判が前提となっていては、せっかくの社説も読み応えがない。