新型コロナが社会の変化を加速させた
今後は、意欲や姿勢、年齢や性別など、非エッセンシャル(本質的)な部分で評価されることはなくなるだろう。会社のビジネスにいかに貢献したかという、目に見える成果のみで測られるエッセンシャルな評価システムになる。
「働かないおじさん」だけではない。この動きが促進されることで、男女、年齢問わず、「会社にぶら下がっているだけの人間」は要らなくなる。
そして、新型コロナウイルスの出現によって、その変化はさらに大きく加速される。変化には、これまで想定していたものと、まったく想定していなかったものとが混在するだろう。
たとえばグローバル化は明らかに後退する。アメリカの自国第一主義やイギリスのEU離脱など、グローバリズムに対する反発はこれまでもあったが、このグローバル化に逆行する流れが、新型コロナウイルスによって強まる可能性がある。
私たちの働き方への影響も大きい。日本型雇用からの脱却とテクノロジーによる人間の代替という、これまで想定していた変化が、急激な経済の悪化と環境変化によって加速されるうえ、テレワークの拡大という要素も加わることになった。
中小企業の大廃業危機
テクノロジーというのは、開発されても、その利用が進むまでには大きな谷があるものだが、今回、多くの人がテレワーク関連テクノロジーに強制的に触れざるを得なくなった。このように、新型コロナウイルスによって、その谷を一気に越えるテクノロジーが続々と出現するだろう。そうやってテクノロジーによる仕事の代替が加速することになる。
AIやビッグデータなどのIT技術による技術革新を「第4次産業革命」というが、その革命を新型コロナウイルスが早めることになるだろう。
そして中小企業の大廃業問題である。私はかねて、日本人の雇用の大半を占める中小企業のうち127万社が後継者不足から廃業の危機にあると警鐘を鳴らしてきた。これはすなわち日本人の雇用危機そのものだ。
「コロナショック」による景気の急速な悪化と経済環境の変化によって、中小企業の大廃業が一気に進むことは間違いない。すでに私のファンドにも「会社を買ってくれないか」という依頼が次々舞い込んできている。
中小企業はもともと体力に乏しい。中小企業の資金繰りに対し、国が十分な手当てをしない限り、中小企業の経営は大きく悪化する。ただでさえ後継者不足に悩んでいる中小企業が多い中、ここで資金繰りに窮し、見通しが立たないということになれば、廃業を選ぶところが多くなるのは容易に想像できる。