サラリーマンは「資本家」をめざせ
「黒字リストラ」「40代強制定年」「コロナショック」の三重苦に見舞われ、新しい世界のとば口に立っているいまの状況は、雇われる側の労働者にも、雇う側の資本家にも非常に厳しいが、私たちはなるべく早く、エッセンシャル化が進む世界で自分がどうやって生きていくかを決めなければならない。
私からアドバイスするとすれば、先行きがまったく見えない時期だからこそ、自分の生き方や暮らし方に関する「コントロール権」を保持しておくべきだ。「自分の時間」のオーナーシップを取り、権限を持って、自分の生き方や暮らしの意思決定をするのである。
それができるのが「資本家」という生き方だと思う。私はベストセラーになった『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)などの著作を通して、サラリーマンに中小企業を買うことをすすめてきたが、コロナ危機に直面し、これはもう不可避だと感じるようになった。
人生逆転の大チャンス
今回の事態に際して、私が運営するファンドは、投資先で厳しいところはもちろんあるが、逆に儲かっているところもあるので、ダメージはそれほどでもない。ポートフォリオを組み、リスク分散をして投資しているからだ。
みなさんの中には、「小さな会社を買ったとしても、今回のような危機が起きたら、ひとたまりもない」と感じる人もいるかもしれない。その心配はもっともだと思うが、だからといって、いまいる会社にしがみついて安心ということはまったくない。
そもそも、資本家というのはどんな状況になっても生き残る術を心得ているものだ。
新型コロナウイルスによって、今後、ますます中小企業の大廃業が進むということは、買う側からすれば「会社を買いやすい状況」になるということだ。また、あらゆる局面で私たちはニューノーマルを模索しなければならない。そんな変化に富むいまの状況は、資本家の発想を持つ人にとっては「むしろ魅力的だ」と考えることもできる。
既得権益のある人もない人も、すべてがいったんゼロになり、実力のある人だけがのし上がれるという、まるで「幕末」のような雰囲気を感じる。少なくとも、これからは、そういうマインドを持っている人の時代になるだろう。
こんな状況だからこそ、アフターコロナの「エッセンシャルな世界」では「資本家」として生きることを、改めてみなさんにすすめたい。