成立早々に逮捕者が続出
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は6月30日、「香港国家安全維持法案」を全会一致で可決した。各国の間で上がっていた批判も無視し、新法の即時施行を同日夜、発表した。
新法成立の翌日、7月1日は香港が中国に返還されてから23年目の節目の日だった。今年の返還記念日は、2014年に起きた「雨傘革命」以来、内外に広く知られたジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏やアグネス・チョウ(周庭)氏など民主化運動の主要な活動家たちが団体「香港衆志(デモシスト)」からの脱退を表明。さらには組織そのものの解散を決めていたこともあり、中国の政府要人らは「これで今年の記念日は安泰」と考えていたかもしれない。
ところが民衆の怒りは少しも収まっていなかった。
デモ活動参加が新法により違法とみなされる可能性が高い中、数千人が香港島の繁華街、コーズウェイベイ(銅鑼湾)などに集結。香港の自由を求めるスローガンなどを訴えた。現地の英字紙、サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)によると、一部は暴徒化し、道路に面した商店の破壊や、路上での焼き討ちなども発生した、という。これに対し、警察は催涙スプレーやコショウ弾、放水銃でデモ隊の排除に乗り出し、成立早々に10人が逮捕、370人もの市民が拘束される事態となった。逮捕者の中には、香港独立と書かれた旗を振っていた15歳の少女もいた。