(8)血圧安定 生活習慣病を治し免疫細胞を活性化

ところで今回の新型コロナウイルスの感染では、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を抱える人の重症化や死亡率の高さが指摘されていた。

大和田氏は「特に糖尿病があると肺炎を起こしやすい」と説明する。

「糖尿病は体の免疫力を低下させ感染症を起こしやすく、悪化しやすくなります。わかりやすい例としては細菌をパクパク食べてくれる白血球の機能低下によって細菌やウイルスに対抗する力が弱くなることです。

高血圧は、心臓や血管に負担をかけて慢性的な炎症を起こします」

ウイルスは細胞に取り付き、増殖して細胞外に出てほかの細胞に再感染することを繰り返す。取り付く場所によって肺の病気を起こすこともあれば、消化管に入って胃腸炎を起こすこともあるという。

「脳炎や心筋炎もありえます。重症化を防ぐにはウイルスをいかに免疫細胞がやっつけてくれるか」(大和田氏)

免疫細胞が効率的に働けるように糖尿病の管理、血圧の安定といった、生活習慣病を放置しないことが感染しても重症化させない大きな鍵になる。

(9)体形維持 太りすぎも痩せすぎも重症化・死亡リスク増

その人の生活習慣の“積み重ね”が大きく表れるのが、体形。

医学会のトップジャーナル『NEJM』に11年、100万人を超えるアジア人のBMI(=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))と死亡リスクの大規模研究が発表された。

その結果、BMIが23~27の間が最も死亡リスクが低かった。あらゆる死亡リスクを下げる研究結果であるため、当然そこに感染症も含まれる。日本肥満学会はBMIが男女とも22のときに高血圧や高脂血症、肝障害などの有病率が低くなるとしているが、死亡リスクとして考えると、それよりもやや太り気味までOKということだ。

「肥満も痩せすぎも免疫力を低下させます。またタンパク質不足は筋肉低下につながり、体温が低くなりやすい。タンパク質は免疫細胞や抗体の材料でもあるので、特に痩せている人は意識して摂取を。肥満に関連したホルモンは炎症を促進し、病態を悪化させる恐れがあります」(望月氏)

肥満者がインフルエンザに感染すると重症化しやすいという報告もある。米ミシガン大学公衆衛生学部の研究で、インフルエンザにかかった肥満の患者は、肥満ではない患者に比べてA型インフルエンザウイルスを排出する期間が2倍になることがわかったのだ。

最近、外出自粛で「コロナ太り」が増えていると聞くので心配だ。

太る理由として大和田氏は「体内時計の乱れ」を指摘する。