1泊2500円の破格はなぜ可能だったのか

また、自衛隊の方々に感染対策を指導していただいたりもしました。レッドゾーンとグリーンゾーンのゾーニング、防護服の正しい着脱方法などを教えていただいたのですが、彼らはプロ。おかげさまで従業員の中でコロナウイルス感染者は出ませんでした。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では感染者が増えてしまったようですが、うちでは徹底した感染防止策が功を奏しました。

——コロナウイルス感染者の受け入れに加えて、アパホテルさんは「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」でも注目されましたね。反響はどうでしたか?

テレワークでの利用や長時間通勤による感染リスク軽減のため、アパ直(アパホテル公式サイト・アパアプリ)から予約することで、シングル1泊1室2500円(税サ込)~の特別料金でご宿泊いただけるプランを6月30日までの期間限定でご提供しています。感染者受け入れと同様、このコロナ禍で私たちができることは何かと考えた末の方針です。

それまで1泊1室の相場は1万円程度だったので、30~50代の出張族サラリーマンの方々の利用が多数でした。しかし、2500円という格安プランが出てきたことで、20代の若い層の利用も増えてきたのです。

このプランではアパ直からでないと予約できないようにしました。というのも、代理店を通すと2500円という低価格はとても実現できないからです。アパホテル会員はこのキャンペーンが起爆剤となり一気に増えて、開始前と比べてグンと伸び、累積会員は現在1800万人いらっしゃいます。

アパでしかできない究極のキャンペーン

この低価格キャンペーンは、アパホテルのような体力のある企業でないと実現しづらいと思います。うちも始めてからしばらくは赤字でしたしね。この機会に、今までアパホテルを利用したことのなかった方、例えば若い方などにもぜひ試してほしいと考えました。「競合のビジネスホテルよりも設備が進んでいて、きれいで、おしゃれで、郊外のロードサイドではなく都心の駅近の立地にあって、やっぱりアパは違うな」と感じていただくために今仕掛けたという狙いもありますから。ベッドの上で資料を広げられるように通常のシングルよりも大きめサイズを備えつけていますし、仕事や勉強をしやすいように部屋の照明はオフィス並みに明るめにしてあります。ミラーリングできるテレビも置いているので、テレワークもはかどりますよ。

——アパホテルさんは「ピンチはチャンス」という言葉をコロナ対応で体現しました。ところで、低価格にすることによって客層が荒れてしまったという情報もインターネットで散見されました。新宿の大浴場付きのアパホテルで、男性同性愛者が性行為に及んでいるという話も……。