日本政府観光局が発表した4月の訪日外国人数は、昨年同月と比べて99.9%減少した。客足が戻るのはいつになるのか。インバウンド業界に詳しい萩本良秀氏は、「日本の観光関係者の多くは10カ月以上先になると悲観的に予想している。だが、それに反して中国をはじめ諸外国は、日本旅行に前のめりだ」という——。
2020年5月11日、上海ディズニーランドで観光客が楽しむ様子。中国でのCOVID-19の収束後、ディズニーランドのテーマパークが再オープンしたのは世界でこれが初めて。
写真=Avalon/時事通信フォト
2020年5月11日、上海ディズニーランドで観光客が楽しむ様子。中国でのCOVID-19の収束後、ディズニーランドのテーマパークが再オープンしたのは世界でこれが初めて。

自粛明けの「リベンジ消費」で観光旅行も復活

5月1日~5日の労働節(メーデー)連休中、中国の国内旅行者は1億1500万人にのぼり、国内観光収入は475億6000万元(約7200億円)となった。昨年同時期に比べて約6割の人出だが、2019年の日本国内旅行者数(年間5億8666万人)の約5分の1に相当し、14億総国民の12人に1人が動いただけで、この数字のインパクトは大きい。

「観光地開放のカギは入場制限、予約、段階的開放」という文化観光省の方針下、中国国内の主要観光地では主要な観光施設では、入場者数を定員の3割を上限として営業された。上海の「A級観光地」と呼ばれる観光名所はすべて完全予約制の入場とし、入場口では個人情報の登録やマスクの着用、スマートフォンアプリ上で個人の感染リスクを3段階で表示する健康コードチェックなどの入場管理が行われた。

いま中国では「報復性消費(リベンジ消費)」がトレンドワードになっている。経済活動の再開後、これまでの巣ごもり生活から一転、これまで抑制されていた消費意欲が一気に解放され、買い物や外食、旅行などを目的に都市部の商業施設から地方の観光名所まで人々の姿が戻ってきた。