自然体の方が、潜在能力を発揮できる

仕事で潜在能力をフルに発揮するためには、自分自身が自然体でいられることが非常に重要です。あなたの会社で次期リーダーとなるかもしれない有能な女性社員が、旧来の女性イメージにしばられて能力を発揮できない、企業人としての成長を妨げられているとしたら、それは大きな損失です。もしも彼女がアグレッシブでタフで、多少強引であるならば、その性格を上手に生かしてあなたの会社で活躍してもらえばいいのです。

もしあなたの会社で同様に、ビジネスに役に立つ性格と、周囲が求める女性像の乖離かいりに悩んでいる女性社員がいたとしたら、まずはその悩みにきちんと耳を傾けること。上司や同僚など周囲の無意識バイアスに問題があるとすれば、経営陣からしっかりと指導をして改善をうながす。必要とあれば配置換えなどを検討するといった配慮が必要になると思います。

「無意識バイアス」はほぼすべての人にある

個人のなかにひそむ無意識バイアスをコントロールし、組織のダイバーシティを進めるためには、地道な訓練、教育しか方法はありません。無意識バイアスを克服していくには、

①無意識バイアスとは何かを理解し、自分も含めてほぼすべての人にあるものだと知ること。
②自分のなかの「無意識バイアス」に気づくこと。
③無意識バイアスをコントロールする具体的な方法を学んで、行動に移すこと。

この三段階が必要だといわれます。

キャシー松井『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます 励まし方、評価方法、伝え方 10ヶ条』(中公新書ラクレ)
キャシー松井『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます 励まし方、評価方法、伝え方 10ヶ条』(中公新書ラクレ)

ゴールドマン・サックスでは、世界共通の取り組みとしてダイバーシティ経営を目的とした講習やトレーニングを行っています。特に日本法人の場合、中途採用で日系の金融機関や日本企業から移ってくる人も多いので、旧来の男らしさ女らしさなど、無意識バイアスについてのトレーニングは重要です。トレーニングには新卒向けから幹部向けまで、さまざまなレベルがあります。

たとえばプロの役者が演ずる寸劇を見ながら多様な人材を生かす知識を学ぶ研修があります。子育てと仕事の両立に悩む女性社員に対して上司としてどう接するか、成果があげているけれども同僚とぶつかりがちな女性社員とどう向き合うかなど、実際に起こりそうな場面のシナリオを用意して、受講者がその場面を見て、どう思ったかを議論するといった内容です。「あの場面で、こういう返事をしたのはよくなかった」「ああした態度は問題がある」など、他から指摘されて初めて気がつくことも多いようですね。

こうした講習を行う団体と契約をしたり、専門家を招いてセミナーを行うなどして社員はもとより、皆さんたち経営トップの考え方を変えていくことも大切だと思います。

【関連記事】
ゼロから1億円貯めた女性たちの「明日から真似できる」12の習慣
ローマ教皇が「ゾンビの国・日本」に送った言葉
女子アナの登竜門「大学ミスコン」は、もう全大学で中止すべきだ
なぜ昭和の親たちは「たくさんの子供」を平気で育てられたのか
化粧水は「顔をパンパンと叩いて入れる」は、なぜ大間違いなのか