多くの大学の学園祭では「ミスコンテスト」が行われている。だが、上智大、法政大、国際基督教大などは「多様性の尊重」という観点から中止を決めた。教育ジャーナリストの小林哲夫氏は「これまでもミスコンは『女性差別』と批判されてきた。今回、さらなる論点が出てきたことで、ミスコンを中止する流れが加速しそうだ」という――。
再燃する廃止論、「大学ミスコン」はこれからも続くのか
2020年4月、上智大ではコンテストの主催者が、大学祭=ソフィア祭でのミスコンを廃止すると決定し、次のような声明を出した。
「現状のミス・ミスターコンが孕む外見主義的な判断基準という問題や『ミス=女性らしさ』『ミスター=男らしさ』という性の画一的な価値観の押し付けを助長するようなコンテスト名からしても、LGBTQや多様性という観点から批判を受けることは然るべきであり、致し方ないと言わざるを得ません。(略)このような状況を鑑みて、今年度からミス・ミスターコンを廃止する決断に至り、時代に沿った新たなコンテストを開催することになりました」(2020年4月1日 ソフィア祭実行委員会コンテスト局)。
上智大がミスコンを廃止した理由として、「LGBTQや多様性という観点」をあげている。これと同じ理由でミスコンをいっさい認めないと宣言した大学があった。法政大である。昨年11月、同大学は田中優子総長名義でこう訴える。
「本学では、2016年6月に『ダイバーシティ宣言』を行いましたが、ダイバーシティの基調をなすのは『多様な人格への敬意』にほかなりません。『ミス/ミスターコンテスト』のように主観に基づいて人を順位付けする行為は、『多様な人格への敬意』と相反するものであり、容認できるものではありません」(大学ウェブサイト 2019年11月29日)。