セイカーは2つのリストをつくるよう勧めている。自分は何をすることで給料をもらっているのかを記すリストと、昇進するためには他に何をする必要があるかを記すリストである。それぞれのリストに最も重要な2つの活動を書き記して、それを自分の机に貼っておこう。その4つが、あなたが最優先すべき活動になる。これらの活動における自分の役割を明確にするために、次の問いを検討してみよう。
・自分はどのような主要価値ドライバー(価値創造要素)を管理しているか
・これらのドライバーは、より高い組織レベルで意味のある価値にどのような影響を及ぼすか
・これらのドライバーの管理において、自分はどのようなイノベーションを実現できるか
あなたが製造工場の責任者であれば、主要価値ドライバーには従業員の技能や訓練、製造プロセスの効率性、工場の設計などがある。しかし多くのマネジャーが、これらの価値ドライバーに関心を払うよりも、むしろこれらのドライバーが生み出す結果──たとえば、製造サイクルタイム、欠陥率で見た製品品質、単位あたりの製造コスト──に注目するという誤りを犯している。
所属部署の価値ドライバーに取り組むにあたっては、自分が特に優れた遂行能力を持つ活動に精力を集中しよう。部下のほうがうまくやれる活動は、積極的に部下に任せることだ。
最優先の4つの活動に加えて、あなたの職務記述書には含まれていないが、会社に実質的な価値を付加すると同時に自分自身の仕事もより楽しくする活動を、さらに2つ見つけよう。その2つの活動を加えてもなお、あなたが現在のポジションでは個人としての充足感を得られないとしたら、それは会社の外か別の部署で自分の基本的な性向により合致する仕事を探すべきだ、というサインかもしれない。
この個人的な優先活動リストにさらに4つの項目──自分の力を高める活動1つと、直属の部下や上司など、身近な同僚の力を高める活動3つ──を加えよう、とセイカーは言う。これらの活動はあなたの得意分野に関連しているはずだが、対極の分野に関連している場合にも同じく最大の価値をもたらす傾向がある。たとえば、「競争」分野で強みを持つ財務部のマネジャーは、財務に関する自社の主な基準や原則を全マネジャーの日々の意思決定に染み込ませる「協働」プログラムを打ち出すことで、自分自身と同僚の力を高めることが可能なのだ。