将来の総理候補「山本太郎」、どうせなら1人100万円を
そうした見方も考慮してか、マスコミは小池氏を「袋叩き」にしている感があるが、それは大メディアに任せるとして、小池氏はとにかくカタカナ語を好むことが多い。すでに忘れかけた英語の語彙力を試されているかのような気持ちに陥る。コロナ禍で自宅学習中の学生諸君には良いのかもしれないが、あれはやめてもらいたい。今回の知事選では「東京大改革2.0」を掲げるようだが、「東京アラート」の赤色といい、エヴァンゲリオンでも意識しているのだろうか。油断して赤面しないことを願うばかりだ。
「将来の総理候補」とも一部から期待される山本氏は、昨年夏の参議院選挙で自身が当選できたにもかかわらず、れいわ新選組として2人の重度障害者の当選を優先させた。約67万票を獲得した参議院選挙東京選挙区(2013年)ではなく、全国比例で出馬して個人名で100万票近くも集めた「革命児的存在」だ。日焼けした肌にがっちりとした体格は格好良いと評判になっている。
脱原発や反TPP、消費税廃止などを唱え、都知事選の公約にも東京五輪・パラリンピックの中止や「全都民に10万円給付」など大胆なメニューを用意している。どうせならば、「1人100万円」と言ってほしかったのは私だけではないだろう。コロナ禍で人通りが減少する中、得意としてきた街頭活動の効果がどこまで表れるかは未知数だが、次期衆議院選挙や来年夏の東京都議選に向けたテコ入れにも期待がかかる。立候補表明した6月15日の記者会見で「(小池氏は)かなり強い。チャレンジャーとして最大限やる」と語った山本氏。「れいわ旋風」とまで評された昨年の勢いは失われ、政党支持率も低位に落ち着く中、どこまで風を吹かせることができるか「モノ言う政治家」の真価が問われる。
和製サンダースの宇都宮健児の誠実さにうっとり
その姿が米国のバーニー・サンダース氏を彷彿とさせることから「和製サンダース」の異名を持つ宇都宮健児氏は、「サラ金・消費者金融問題」などに精通し、日弁連会長も務めた人物だ。貧困問題にも取り組み、学校給食の完全無償化や都立大の授業料無償化を目指す。その支持者は熱い思いを持つことで知られ、2012年と2014年の都知事選に出馬し、それぞれ90票近くを獲得して次点となった。前回知事選は野党共闘候補への一本化に伴い出馬辞退に追い込まれたが、今回はサンダース氏のようにあきらめない姿勢で「3度目の正直」を狙う。地味すぎるとの声が上がる一方、その真摯な受け答えには「誠実な男性にうっとりしてしまう」とファンになる人も出ているようだ。
今回の都知事選は主要3候補予定者の他にも注目すべき人物がいる。その筆頭はNHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首だ。立花氏は当初、実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏の出馬を期待し、それを支援するため政治団体「ホリエモン新党」まで結成した。5月末に刊行された堀江氏の著書は、出馬への注目もあって売れ筋商品となったが、最終的に堀江氏自身は出馬を見送った。そのため、立花氏はホリエモン新党公認、N国推薦で出馬するとともに、知事選には現職の小池氏と同姓同名の「小池百合子」氏を擁立する計画をぶち上げている。この「天才的手法」は、今年4月の衆議院静岡4区補選でも断行しており、圧勝が予想される小池氏の得票を削り得る「合法的手段」となる。最近は党勢が低下し、一部からは「何を目指しているのか分からない」との声もあがるが、注目度の高い都知事選に出馬することにより、どこまで党勢を回復させることにつなげられるのか注目の一戦となる。