起業の「結果」ではなく「土壌」が評価されている

そのような印象をもとに考えると、この項目において米国が3位、日本が2位という順番に違和感を覚える人もいるかもしれません。どうやらこの調査においての「Entrepreneurship」とは一般的に思い浮かぶ意味合いとは少々異なるようです。詳しい内容について、同サイト内で次のような説明がなされています。

“educated population, entrepreneurial, innovative, provides easy access to capital, skilled labor force, technological expertise, transparent business practices, well-developed infrastructure and well-developed legal framework”

教育レベル、ビジネス慣行の透明性、インフラ、法的枠組みを評価する内容となっているのです。つまり、実際に起業家が多く輩出されて、経済が活性化している「結果」ではなく、その土壌を評価しようというアプローチと言えるのではないでしょうか。

確かに日本人の教育レベルは世界的に高く、ビジネスの法整備、インフラ、透明性も高いでしょう。もちろん改善余地はあるでしょうし、賛否もあるかもしれません。しかし、ハード面は比較的高く評価されているようです。しかし、「起業しよう」というソフトウエアとしての日本人のメンタリティは、決して高いと言えないでしょう。

この点にこそ、評価とわれわれ日本人の意識との間に乖離かいりがあるのかもしれません。

ランキングから明らかになること

また、同調査のトップ10は、「先進国と欧州、オーストラリア」が名を連ねています。これらの国は、GDP、1人あたりのGDPを確認するといずれも世界上位につけていることが分かります。

GDP、一人あたりのGDPはU.S.News、ランキングはIMFから
GDP、一人あたりのGDPはU.S.News、ランキングはIMFから

経済的に比較的裕福で、それ故に社会的秩序やインフラが整っています。また、歴史的、文化的な豊かさ、古代から文化を維持できている点についても国力があったと見ることができると思えます。つまりこのランキングは、総合的な国力の高さを表していると言えるのではないでしょうか。