軍事大国化しつつある中国は、米国の覇権を脅かす存在に
そして、米国の反中姿勢は共和党・民主党の双方のコンセンサスに基づくものだと見るべきだ。
一昔前まで米中関係は共和党・民主党のいずれであっても良好なものだったと言えるだろう。1980~2000年代初頭は当時世界第2の大国であった日本に対して東アジア内の対抗勢力を育てる意図も含みつつ、米国人の誰もが豊富な労働力や魅力的な国内市場の誘惑に誘惑されていた。ジョージ・ブッシュ(父)、ビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ(子)、そしてオバマ政権の前半期までは党派に関係なく中国を露骨に敵対視する政治家は少なかった。
しかし、2020年現在、経済成長を遂げて軍事大国化しつつある中国は、米国の覇権を脅かす存在となっている。従来指摘されていた中国の知的財産権の窃盗や不公正な貿易慣行が問題視されただけでなく、国家安全保障上の最も重要な脅威の1つとして中国が明確に定義された。
香港問題で米国は激しく批判
米国の政治家は自らの覇権を脅かす存在として認知した相手に関し、党派を超えて容赦ない対応を行うことに特徴がある。共和党・民主党の対外政策のアプローチの方法は異なるものの、競争相手として潰すと決めた相手に対して情けをかける甘い国ではない。特に中国のように軍事的脅威が伴う相手に関しては尚更である。
もちろん、米中は経済的な相互依存関係を有するため、米中の双方の経済圏に世界が二分されるデカップリング論を安易に採用することは難しい。しかし、東アジア・東南アジアにおける両国の外交的・軍事的緊張は高まることはあっても低下することはないだろう。
香港問題で中国が強硬姿勢を見せる中、米国は中国を激しく批判するとともに、ウイグルに関する制裁法案を上院・下院で通過させている。これらの対中強硬姿勢はトランプ政権だけでなく、米連邦議会の超党派の試みとして進められている。