バラマキ以外の政策は携帯料金の値下げ
そして、これらの政策は見識と節度がないどころか、中長期的には日本経済の足腰を弱体化させ、人々の生活を貧しくすることに繋がっていくだろう。まさに、人の仮面を被った餓鬼のような所業だ。
では、直近の出来事で、このような愚かなバラマキ政策ではなく、人間として知恵を使って国民生活の負担軽減を行う政策は何か行われたであろうか。その一例として、携帯電話料金の引き下げを目指す改革を挙げることができるだろう。
国民生活の負担を軽減する携帯料金値下げは、菅義偉官房長官肝煎りの目玉政策である。国民生活が新型コロナウイルスに伴う経済不況で厳しい環境に置かれている中、家庭の負担の中で大きな割合を占める項目として通信費が削減される可能性があることは望ましいことだ。
中長期的には携帯料金は下がっていくだろう
携帯電話の値下げは菅官房長官と公正取引委員会の暗黙の協力関係で進んできたものだ。2018年6月公正取引委員会が端末・通信のセット販売を前提に「携帯市場は競争が十分に進んでいない」と発言、18年8月に菅官房長官が携帯電話料金の4割削減を打ち出した。その後、官邸に設置されたデジタル市場競争本部長として、アップルのクック会長に携帯市場に関する透明性を確保することを約束させている。携帯電話市場には今年4月から楽天が参入し、データ通信量に上限がないプランを従来の大手3社の約半額の値段で提供する形となっている。
菅官房長官は総務大臣として携帯電話事業を所管する経験を持ち、国会議員として当選後に総務委員会に所属し携帯に関する質問等を行ってきたことからも同政策分野に元々高い関心を有していた。そして、20年からは公正取引委員会委員長として、古川一之官房副長官補が承認されている。古川氏は菅官房長官の側近の1人とみなされる人物だ。したがって、菅官房長官の影響力が残る限り、携帯各社の競争促進の流れが逆戻りする可能性は低く、中長期的には携帯料金が下がっていくことになるだろう。