学生時代より「本を読まなくなった」報道スタッフ

そもそも、玉川氏はテレビ朝日の正社員である。そして、彼一人で「そもそも総研」の調査をしているわけではなく、制作チームの中で担当者が割り振られ、さらに報道チームから情報を得てあのコーナーを放送している。そして、その内実を率直に話すと、報道記者は日々の業務に追われているため、インプットがおろそかになっているケースがとても多いのだ。

テレビ局で報道番組に配属になったスタッフは、政治や社会問題に対して比較的関心を持っているケースは少なくないが、学生時代と比べればめっきり本は読まなくなったと答える人が大半で、明日の締切に追われ続けているため取材や調査がずさんになりがちなのだ。

先日、それを示す典型的なケースがあった。4月28日放送の「モーニングショー」の「そもそも総研」で、玉川氏は「4月27日に東京都が発表した、土日に行われたPCR検査で陽性と判明した39人は、全部民間検査によって行われている」という趣旨の発言をした。

翌日、すぐに訂正。なぜこんなことになってしまうのか

具体的に発言を引用すると、<民間よりも、通常は平日で言えば、行政検査の方が多いんですよ。行政検査が土日休みになっちゃって、結果として、民間で検査をしたものの中から、感染者が39例ということなんですね>というものだ。この“事実”をもとに、彼は5月の大型連休に入ると、行政検査が休みになり、民間検査が続くためこの数値が続くと批判的に発言したのだ。

だが、周知の通り、玉川氏の“スクープ”は完全なる誤報だった。

4月29日放送の「モーニングショー」で、司会の羽鳥氏は「東京都の感染者の数について解釈が違っていました」と謝罪し、玉川氏もこれに続いて謝罪した。

玉川氏は、このような誤報に至った理由について「テレビ朝日の記者が都庁でのレクチャーを取材して作成したメモの解釈が間違っていた」という趣旨の説明をした。彼は誤報を認め、すぐに謝罪したとはいえ、報道番組としての責任はあまりにも重い。