さらに企業からの相談があれば、タイムズカーシェアでは必要な最寄り駅にステーションを新設するなどの対応を行い、確実な需要の見込める箇所からステーションの密度を高めていっている。あるいは運転者の運転傾向を把握し、事故削減やエコドライブ普及を目的としたレッスンやコンテストを提供するなどのサービスも用意している。
車を持たない若い人が利用するという思い違い
開業当初のタイムズカーシェアでは、主要な利用者は、自家用車をもたない都心部などの若い世代となると考えていた。しかし、先ほどの法人利用のように利用者は若い世代だけではなかった。都心部の大企業本社だけではない。支店単位、あるいは中堅企業などの契約も増加しているという。
さらに自家用車を所有する個人との契約も増加している。現在では個人会員の20%は、車を保有している世帯である。例えば家族の誰かが、出勤などで自家用車を使っている時間は、カーシェアをセカンドカー代わりに利用する。自宅周辺などでの送り迎えや買い物などを、ストレスなく安価に行うことが可能になる。
社会のなかで自動車はどのように利用されるか。一昔前は自明だった問題が、いまや揺らぎはじめている。今後、自動車利用のなかでシェアリングがどの程度進むかは、未知の問題である。こうした問題にいかに挑むか。
サントリーの企業理念を表す言葉として「やってみなはれ」という言葉が知られている。この言葉は同社の創業者の鳥井信治郎氏の口癖だったというが、その後に続く言葉がある。「やらなわからん」である。