なぜカーシェアは会員制なのか。それは無人対応をするためだ。車両の貸し出しには、利用者の運転免許証や保険加入の確認や加入手続きなどが必要である。これらの手続きをすませた会員を対象とすることで、レンタカーでは難しかった無人対応、24時間対応、15分間隔などの短時間利用を実現した。
会員ベースで6割のシェア握るタイムズカーシェア
タイムズカーシェアの会員数は2020年1月現在で134万人。国内各社のカーシェア会員は200万人程度とみられており、タイムズカーシェアは会員ベースで6割超の市場シェアをにぎる。一方、国内の自家用車保有台数は6100万台である。カーシェアの利用は広がっているが、現時点では自動車利用の大勢とはなっていない。これはむしろ大きな成長の余地が残されているともいえる。
タイムズカーシェアを運営するパーク24グループは、駐車場事業のタイムズパーキングなどを手がけてきた。そのなかにあって、タイムズカーシェアやタイムズカーレンタルを中心としたモビリティ事業の売上高は、2019年10月期には857億円と、3年前の1.6倍に拡大している。これは売上高でパーク24グループの27%をになう事業であり、営業利益については91億円(前期比33%増)と同グループの40%を稼ぐ。
スムーズな歩みに思えるが、実際には試行錯誤の連続だった。なぜならタイムズカーシェアが提供してきたのは、普及が進んでいなかった新しいサービスだからである。
毎月基本料金を徴収し会員の休眠化を防ぐ
タイムズカーシェアは会員限定のサービスである。入会時の費用として、個人、法人のいずれでもカード発行手数料が必要である。さらに個人会員には、毎月880円の基本料金が課せられる。この880円は各月の利用料金に充当できるが、利用がなくても毎月支払いが必要となるため休眠会員は少ないと見られる。