ネットで「友と敵」を分けても世界は変わらない

残念なことだが、私たちは結局のところ、いくらオンライン上で自分の有用性をかき集めても、肉体を捨てて完全な電脳世界の住人にはなれないかぎり、飯を食わなければ腹が減ってしまうし、風呂に入らなければ身体が臭くなるし、不摂生ですぐ風邪をひく。

自己責任論を振りかざすつもりはないが、この現実世界に生きているかぎり、「飢え」から解き放たれるには、見ず知らずの他人を変えて一時の有用感を享受するのではなく、自分の現実を自分でよくしていくほかない。それはときに、耐え難くつらい。それでも、前を向かなければならない。理不尽で、無慈悲でさえある。

人生は問答無用だ。インターネットで「敵」を見つけて攻撃し、同調する味方を増やしても、その達成は私たちの現実には還元されない。玄関を開けたらすぐに「弱くてしょぼい本当の自分」に押しつぶされないように、少しでもいまを変えていくしかないのだろう。

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