中国の点数、異様に高いことが気になる

それにしても中国の点数が異様に高いことが気になる。ブラック・ボックスの創業者兼最高経営責任者のディビッド・ブラック氏は、中国に関してこのような指摘をしている。

「ほとんどの国が自国民の期待にうまく応えられていないなかで、唯一の例外は中国だ。それは世界がいまだコロナの感染爆発から抜け出せていないなか、中国だけがコロナを抑え、すでに次のフェーズへと歩みだしているからだ。中国政府はうまくこの危機を乗り切ったと国民が感じていることの証しである」。

たしかにこの調査が行われた時期が4月3日~19日だったことを考えると、その分析もうなずける。ただ、上位2カ国の中国とベトナムは、共に社会主義国家でもある。都市封鎖や行動制限の厳格さは、他の国々よりも徹底して行うことができたし、また言論の自由という意味でも、他国と単純に比較することができるかは不明な点も多い。

実はコロナウイルスが中国で蔓延しはじめた2月初め、私は中国人の知人に「マスクは足りているか」とSNSを通じてメッセージを送ったことがある。だが、普段ならすぐに返事が来るはずなのに今回はノーレスポンス。返事が来たのは2カ月後の4月1日だった。メッセージには「中国ではこの間、SNSが禁止されており返事ができなかった」とサラリと書かれてあった。

日本の国民は政治のリーダーシップに不満足

現在、中国はコロナウイルスが武漢発祥であることの打ち消しに躍起になっている。危機を乗り越え、他国を援助できる力強い国としてのイメージ戦略にも奔走していることなども、考慮に入れるべきだろう。

ただ、そういったことも、日本のランクが最下位であることの言い訳にはならない。「世界中の国民が自国リーダーの手腕に期待しているが、それに成功して50点以上を獲得できているのは7カ国のみ。ランキング最下位の日本の場合は、わずか国民の5%しか政治のリーダーシップに満足していない」(調査報告)からだ。

日本についての分析はさらにこう続く。

「日本の低評価は、緊急事態宣言の発令が遅れたことや、国民が一貫して政権のコロナ対策を批判している現実とも合致している。明らかに日本国民は政治のリーダーシップに不満足であり、安倍政権はこのコロナ危機(という負荷の状態)において、(政治が正常に機能していないと見なされ)リーダーシップのストレステストに合格しなかったのだ」(ブラック氏)