会社の垣根を超えて、技能を引き継ぐ

現在、大手企業では新卒の大量採用を続けてきた結果として、生産現場でも高年齢層の社員を多く抱えています。現場の規模を圧縮するにしても簡単に人員整理はできませんし、国がシニアの雇用継続を推進する中、ベテラン社員の処遇に悩む企業が増えています。

清水唯雄『のっこむ! 「ものづくり日本」を人で支えた半世紀』(プレジデント社)
清水唯雄『のっこむ! 「ものづくり日本」を人で支えた半世紀』(プレジデント社)

しかし、製造部門でキャリアを重ねてきた社員の多くは高い技能を持っています。私たちから見れば、こうした人たちの技能を生かす場はまだまだあるように思えます。現在は活躍の場がなくても、技能工の不足に悩む企業などでは歓迎される可能性も高いのです。

このことから、技能工を多く抱える企業と共同でベテラン人材を生かす場を設け、一定の年齢に達したベテラン社員をそこに移籍し、彼らが活躍できる場を外に求めるという新しい事業の可能性を探ることとなりました。

企業にとっては、高年齢の社員の処遇や雇用継続の問題を解決できますし、技能社員自身も自らのスキルを生かす場を確保することで生きがいを持って仕事に打ち込めるはずです。そして同時に、若い世代に技能を引き継ぐという教育の面でも成果が期待できます。

会社の垣根を越えて、高い技能を有するベテラン社員たちを、技能工不足に悩む企業にマッチングさせ、再び活躍できる場を確保しつつ技能を次世代に伝えていく──。製造業の分野で人材事業に長年携わってきた私たちの経験を生かして、日本ならではの「ものづくり」力の維持・強化に向け、この事業をぜひとも成功に導きたいと考えています。

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