リーマンショックと今回のコロナ禍の一律支給は「申告制」という点で共通しています。リーマンショック時は自治体から住民へ申込書類を発送し、振込先の銀行口座などを記入した上で返送するというものです。送られてきた書類を1つ1つチェックし、時には記述の誤りの修正などの対応を迫られつつ、人海戦術で対応したと推測されます。

しかし、今回の給付は当時の状況以上の混乱が予想されています。すでに出ている兆候としては次のような話があります。「マイナンバーの取得をしていれば給付の受け取りがスムーズ」という話が広がり、一律支給申請に先立ってマイナンバー取得のために窓口に人が殺到しました。その結果、コロナ禍の被害救済の名目で支給を受けるために、混雑する役所に手続きにいくという皮肉な状況になっています。

自治体でもコロナ禍の対応に追われているところに「一律支給の対応」という仕事が追加された格好となります。日本国民から大量に提出される書類のチェックを余儀なくされ、5月中の速やかな支給は難しいと見られます。

今回の給付は「当座のお金がなく、経済的に困窮する者を救う」という名目ですから、給付が遅くなってしまうと緊急で経済支援を要する人が救われないことになり、給付の意味合いがなくなります。

またも格差か?…支給日格差が生じている事情

一体、いつになったら支給されるのか不透明な一律支給ですが、なんと国内でもすでに給付された人も出ている「給付格差」が生じている状況です。給付は自治体を通じて行われますから、この支給タイミングの差は住んでいる市区町村によって生じていることになります。

同じ都道府県内でも支給タイミングに差があるのです。たとえば沖縄県では、同県内の41市町村のうち、33市町村が5月中の支給を予定しています。逆にいえば沖縄の中でも8つの市町村は5月以降になる可能性があるということであり、現場対応の混乱と給付の仕組みの不透明感が漂う格好となっています。