「休業による生活破綻リスク」には大きな格差が

新型コロナウイルスが猛威を振るい、「見えざる敵」の恐怖に世界中が大きな不安を抱えています。

日本では4月20日の閣議決定を受け、「特別定額給付金」がやっと動き出し、全国民が一律10万円の給付を受けられることになりました。しかし、新型コロナに関する保障を「誰もが等しく受けられる」と思っていては大間違いです。保障には大きな格差があり、生活が逼迫している方々も大勢いらっしゃるのです。

テレビでは飲食店オーナーなどが、「店を閉めたら生活ができなくなってしまう」と切実に訴えている姿をよく目にします。また会社が休業になり、「これからの生活がどうなるのか不安だ」と、インタビューに答えている方もいます。

しかし、両者の「休業」による生活破綻のリスクは同じではありません

会社員は雇用保険からの給付がある

「会社が休業になったら」「仕事がなくなったら」「新型コロナウイルスに感染してしまったら」「発症してしまったら」……。

そんな有事の時に暮らしを支えてくれるのは、「社会保険」です。健康保険や年金制度は、私たちが生活困窮に陥らないよう「防貧」の役割を果たします。

ストレスを抱えた若いアジアのビジネスマンは、階段に座って頭に手を合わせていた
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もっとも手厚い社会保険で守られているのは、会社員(公務員も同様)です。会社員は健康保険・介護保険・厚生年金、そして雇用保険に加入しています。

では、彼らが休業を命じられたらどうなるのでしょうか?

労働基準法では、休業時は平均賃金の6割以上を支給するよう決められており、また今回の新型コロナ対策においては、会社が社員に休業手当を出した場合、その大部分を雇用保険の給付金で補填する仕組みが整備されました(雇用調整助成金)。さらに、この雇用保険からの給付は、パートの方など雇用保険に加入していない人にも拡大適用されますので、休業で収入がなくなるわけではないのです。