「コロナ休業」でも会社員は給料の3分の2の傷病手当金を受給できる
では、新型コロナウイルスに感染したらどうなるのでしょうか?
症状が出ずとも、陽性反応が出たり発熱などがあれば、働くことはできません。さすがに、これは個人の事情ですから会社から休業手当は出ませんが、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。
この手当は、給料の約3分の2の金額ですから、やはり会社員はすぐに収入が途絶えるわけではありません。新型コロナに関しての医療費は公費で賄われますから、入院が長期に亘っても医療費の負担は心配無用です。
しかし、ここでもやはり「格差」が存在します。傷病手当金は、会社員が加入する協会けんぽあるいは組合健保による給付で、「被保険者」が対象ですから、会社員のご主人に扶養されているパートの主婦の場合、新型コロナに感染しても傷病手当金は支給されません。また、契約社員など契約内容によっては、同じ仕事でも健康保険に入れない方もいます。
会社勤めなのであれば、より多くの方に社会保険加入を広げようという国の方針が「適用拡大」です。2016年から、社会保険加入のハードルを下げ、手厚い給付が受けられやすくする仕組みが始まりました。しかし、特に小さい事業所では雇い側が社会保険料の負担が重くなることを嫌って、普及の速度はあまり速くはありません。
「国保」にも新型コロナで傷病手当金の期待が……
自営業の方は、国民健康保険(国保)に加入していますが、国保にはそもそも傷病手当金がないので、新型コロナに感染し働けなくなってしまうと当然に収入が無くなってしまいます。フリーランスも同様です。
国民健康保険に加入している人は案外多いものです。給料をもらっている勤め人で自営業ではないと認識している方でも、個人商店や理美容店で働いている方、スポーツジムのインストラクターの方など「法人ではないところ」で働いている方は、国保加入です。従って、新型コロナで働けなくなると生活困窮リスクと背中合わせです。
しかし、さすがに新型コロナに対しては国も例外を設けることにしました。
政府は3月10日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」を出し、国民健康保険についても傷病手当金を支給するよう関係各所に指示したのです。さらに、この傷病手当金の給付金については全額国が支援するとなりました。
ただし、国保の管轄は市区町村であるがため対応は足並みがそろわず、ウェブサイトなどで給付のお知らせをしているところはまだ限定的です。実際の給付は、適用期間である令和2年1月1日から9月30日で、さかのぼっても行われる予定ですが、急を要する方もいらっしゃるでしょう。その場合は役所に問い合わせてください。