ベトナム戦争における民間人大量虐殺に関しては、1999年ベトナムに留学中だった活動家の具秀姃(ク・スジョン)氏が週刊誌『ハンギョレ21』ではじめて実態調査の結果を発表したことによって明るみに出た。それを皮切りに、多くの調査団体が発足されて継続的に調査活動が行われてきた。2016年には韓国政府の公式謝罪の実現とベトナムとの民間交流を目的とする「韓・ベトナム平和財団」が創設されている。

韓国人がベトナムに行くと何が起こるか

近年の報道では20年2月の、事件現場であるフォンニィ村、フォンニャット村、ハミ村、ビンフォア村、クィニョン村を訪問した韓国JTBC李秀真(イ・スジン)記者のルポが圧巻であった。

現地で住民に憎悪を向けられることを恐れていた李記者だったが、その予想とは裏腹に、とある住民女性は取材陣を歓迎し餅を差し出した。李記者が「私たちが憎くないのですか?」と聞くと「あなたたちが生まれる前のことじゃないか。それなのに知ろうとして、ずっとここに来ては謝るのだから。むしろえらいよ」と言い、次に会ったら酒を飲もうと誘われたというのだ。

李記者はこの対応に驚きつつ、韓国人有志らが現地訪問して行ってきた慰霊祭などによる謝罪と反省の態度が好意的な感情をもたらしたものではないかと述べ、ベトナムから韓国政府のある青瓦台まで抗議に来る被害者たちはこれ以上憎みたいわけではなく政府の正式な説明を求めており、政府がすべてを明らかにして謝罪さえすれば許す手前まで来ていると見解を示した。