これまで韓国政府はベトナム政府に対し、「国防部保有資料には韓国軍による民間人虐殺に関する内容が確認されていない」という理由で公式謝罪を行っていない。

一方で、過去3人の大統領はベトナムとの首脳会談で謝罪の意は表明してきた。2001年、金大中(キム・デジュン)大統領(当時、以下同)は「本意ではなくベトナム国民に苦痛を与え申し訳なく思い、慰労の意を表する」、2004年には盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「我が国民は(ベトナムに対し)心に借りがある」と語った。そして2018年には文現大統領が「不幸な歴史に対し遺憾の意を表する」とそれぞれコメントをしている。

韓国からベトナムへの公式謝罪が行われない理由

謝罪のコメントは出すものの、これまで公式謝罪がなされなかった理由の一つに挙げられるのが、ベトナム政府による謝罪受け入れの拒否だ。これまで韓国国内メディアの取材に対しても、政府関係者の弁として「ベトナム側がそのたびに受け入れなかった」としている。

ベトナム政府は韓国と国交樹立した1992年当時から、「ベトナムは戦勝国であり韓国からの謝罪を受ける必要がない」という立場を堅持してきた。その背景には、加害国である韓国の謝罪を受け入れることで、旧北ベトナム側の地域感情がぶり返し、再びベトナム国内で分断が生じるという見方があるためだ。

ベトナムに留学していた韓国人留学生が実態を調査

韓国が「被害国」として従軍慰安婦や徴用工問題などの戦後補償を日本に求めている姿とは対照的に映る。同じ虐殺行為でも直接の植民地支配下と、参戦国として参加したベトナム戦争は同列に語れないという意見もあるが、韓国国内では「私たちは日本にされたことと同じことをベトナムでしていた。訴えられても文句は言えない」「必ず謝罪して和解しよう。今解決しなければ、後でもっと大変なことになる」「ベトナムに謝罪し、日本から謝罪を受けよう」など、韓国政府に公式謝罪を促す声が寄せられているという。