個人の都合による変則的な勤務はどの程度認めるべきなのか。ある調査によると、柔軟な勤務形態を認めることは、社員の定着率、組織の生産性、個人の能力開発にもプラスになることがわかった。

たとえば、前途有望な社員が、CPA(アメリカの公認会計士)試験に備えて勉強できるよう、4カ月のあいだ週3日勤務を希望したり、重要な職務を担当している社員が、子どもと過ごす時間がもっと持てるよう、ジョブ・シェアリングを希望したり、優秀な販売マネジャーが、特別なケアが必要な子どもの世話をするために、仕事量を60%に減らし、出張はなしにしてほしいといってきたりしたらどうするか。

断れば、重要な人材を失いかねないが、認めれば、生産性や効率の低下を招くかもしれない。

アメリカとカナダの6業種において、マネジャー以上の地位にある20社88人に対するわれわれの調査によると、慎重に実行すれば、そうした事態を招くおそれはないことがわかった。

メルク、ユニリーバ、モントリオール銀行、スターバックス、バクスター・インターナショナルなどの大手企業で行ったこの調査では、社員が従来とは異なる仕事量やスケジュールで働けるようにすることは、優秀な社員の維持率の向上、生産性や効率の向上、チーム機能の強化、クロストレーニングや能力開発の促進など、大きな見返りをもたらすことが明らかになった。

しかし、個々人のニーズに合わせた取り決めの必ずしもすべてが組織に価値をもたらすわけではない。仕事量を削減する取り決めがそのチームや会社全体に恩恵をもたらす可能性を高めるために、それを望んでいる社員と一緒に次の4点をしっかり見きわめよう。