スポンサー収入で設備投資費をまかなった
巨額となる設備投資負担を減らすための工夫として、ディズニーランドではスポンサー企業制度を採用していることは有名です。スポンサーはオリエンタルランドと契約、提供しているアトラクションで企業名を表示することができます。スポンサー側は、企業イメージアップや販売促進、新卒採用といった面で効果を望める一方で、オリエンタルランド側は投資額を広告収入という形で回収できるため、自社の実質的負担額を抑えることができます。
例えば、1992年にオープンした、スプラッシュ・マウンテンのあるエリアは約285億円の投資額、2012年オープンのトイ・ストーリー・マニア!は、約115億円の投資額がかかっています。この回収には長期間を要しますが、現在のスポンサーはどちらも花王であり、同社がスポンサー料を支払っています。
2001年のディズニーシー開園とともにオープンしたセンター・オブ・ジ・アースは投資額が約380億円、1987年オープンのビッグサンダー・マウンテンは投資額約80億円ですが、スポンサーはどちらも第一生命保険です。これらのスポンサーは投資額の回収に貢献するとともに、回収後は利益率の改善にも寄与しています。
東京ディズニーリゾートは1年半売り上げがなくても潰れない
3つ目が、有事に備えたファイナンススキームの導入です。阪神・淡路大震災を機にリスクファイナンスの必要性を認識、オリエンタルランドでは、リスクを想定したコミットメントライン(一定の借入枠の確保)を導入しています。
実際、2011年に東日本大震災が発生した折、東京ディズニーリゾートでは約1カ月休園となりました。運転資金を補う目的で、そのファイナンススキームを活用し500億円調達、資金繰りを改善しました。その経験を活かし、地震災害等の有事に備えたスキームをさらに強化、現在では、最大1500億円の迅速な借り入れを可能としています。そして、この1500億のリスクファイナンス枠を考慮すれば、現在保有する現預金や売買目的有価証券と合わせ、1年半程度は、売り上げ収入がなくともコスト負担に耐えられることになります。