私たちユーザーのデータはいかようにも活用しうる
厚労省は引き続き、新型コロナ感染症対策に資するためのデータの提供を民間事業者に呼びかけている。
4月13日にはYahoo!がアプリ利用者の位置情報や検索・購買履歴のデータを組み合わせて分析し、「新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生が疑われる地域」の情報を厚労省に提供すると発表している。もちろんYahoo!はデータ利用に同意したユーザーのデータのみと断っているが、日頃から吸い上げられている私たちユーザーのデータがどれほど膨大で、いかようにも活用しうるものであることを改めて思い知らされる。
新型コロナ封じ込めで実績を残した韓国では、クレジットカード履歴や監視カメラ映像、その他のデータを利用して、個人のプライベートに踏み込んで感染の疑いがある個人を割り出したとされている。さらに韓国の政府職員は、居場所を特定できるスマートフォンアプリを利用して、特定の個人に自己隔離を強制する権限も認められていたという。
個人のプライベートに踏み込むことを躊躇する日本
民主国家では韓国に加え、台湾などもコロナ対策が一部で高い評価を得ているが、台湾は官民のデータベースを統合し、全国のすべての病院、診療所、薬局は患者の旅行履歴にアクセスできるようにしたことで感染の動向を把握した。新型コロナの封じ込めが、こうしたプライベートな情報を渡すことと引き換えに奏功した面もあることは知っておくべきだろう。
それに比べ、個人のプライベートに踏み込むことを躊躇する日本での感染者対策や実態把握は、おのずと「性善説的」なものにならざるをえない。もちろん新型コロナ蔓延の状況次第ではあるが、願わくは、お互いの善意で成り立つ調査、データ利用程度で済んでもらいたいものだ。