命か経済か。国との攻防
4月7日、安倍晋三首相は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。人の流れを抑制することで、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけようというものだ。東京都知事としての権限が生じたことに伴い、小池百合子都知事は東京都独自の措置案を発表。しかしあろうことか、国がこれに待ったをかけた。
理由の一つは、休業要請の内容が厳しすぎるということ。その裏には、休業要請をしてもセットである補償ができないという事情もあった。本来であればこの補償は国の仕事であり、緊急事態について定める特措法にも明記すべきもの。しかしそれがなかったのだ。国は基本的対処方針の改正までして都知事の権限を奪い、小池知事の動きを止めた。
その波紋は都議会にも広がった。都民ファーストの会も最大会派として国に抗議し、戦った。しかし揉めている間にも感染は広がっていく。東京都にとって事態は一刻を争っていた。命か経済か。3日間にわたる攻防の末、小池知事は4月10日、国を押し切る形で休業要請対象となる業種を発表した。
休業を要請するということは、少なからず経済にブレーキをかけることを意味する。当然、中小企業や個人事業主へのダメージが懸念される。しかし東京都においても同じく、予算面でも制度面でも補償を行うのは現実的ではない。繰り返しになるが、それは国の仕事だ。一体どうなるのか。都内で商いを営むすべての人が固唾を飲んで見守る中、小池知事が発表したのが「感染拡大防止協力金」だ。