若者向け企業への影響は軽微か

飲食の中で最も厳しい影響を受けている居酒屋ですが、その中で、鳥貴族は、直近2月の新規開店した月を除いた既存店売り上げの前年同月比は106%と健闘しています。鳥貴族は、2~4人の座席配置で大人数客を想定していないことに加え、コアターゲットが20~30代の社会人・学生。新型コロナウイルスは、高齢者は重症化しやすいが、若年層では無症状または重症化しないという報道が、若年層の行動制限に強い影響を与えていないのです。

低価格帯で他のファミリーレストランと比して若年層をターゲットとしているサイゼリヤも、3月中、海外店舗は厳しい影響となっているものの国内店舗への状況は軽微に済んでいます。実際、都内学生街近辺のサイゼリヤでは、夜間の稼働率は8割近くになっているところが見受けられました。逆に、中高年をコアターゲットとしてた高価格帯のチェーンが苦戦を強いられています。

売り上げが減少した場合でも利益が残るか否かはコスト構造が影響します。支払額が一定の固定費が高ければ、売り上げが減少した場合には赤字となりやすく、逆に固定費が低ければ赤字にはなりづらい体質となります。

先に挙げたファストフードとして松屋フーズホールディングス、マクドナルド、居酒屋では「はなの舞」や「さかなや道場」で有名なチムニーと、「庄や」で有名な大庄(フランチャイズ比率が高い鳥貴族は除きます)、そしてファミリーレストランのサイゼリヤとすかいらーくホールディングスを例として分析してみます。なお、直近3年間の各四半期の売上高と営業利益を基に回帰分析を行い固定費と変動費の理論値を試算してみたところ、3業種のうち、一店舗当たり平均固定費が高い業種は居酒屋となっています。チムニーは一店舗当たりの固定費が約350万円/月、大庄が約240万円/月。一方で、サイゼリヤは約100万円/月、次いで松屋が約110万円/月と固定費が低い結果となっています。

赤字になりづらいサイゼリヤ

固定費の内容は、各社によって異なりますが、主に家賃などの賃借料、設備や建物の内装に係る減価償却費、正社員の人件費が主な内容です。居酒屋は、アクセスの良い好立地に出店、広い空間が必要となるため、家賃が高額となる傾向があります。サイゼリヤは徹底した業務効率化により時間ロスを最小化する取り組みを行っていることと、賃借料が安い地下テナントの活用、店舗の約27%が海外であるため固定費が低く抑えられていると考えられます。

また松屋は店舗スペースをコンパクトに抑えていることが寄与しています。また限界利益率も重要な要素です。限界利益とは、売上高から変動費を差し引いたものですが、これが高いほど固定費の回収に当てることができます。

ただ、いくら限界利益率が高く、固定費を低く抑えていたとしても食材は海外から調達品も多く、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合、グローバルでのサプライチェーンが機能しなくなることが懸念されます。その結果、提供可能商材が減り、開店可能店舗数の限定や客足への悪影響が有り得ます。日本では4月7日の非常事態宣言に基づく外出自粛や休業要請が5月6日まで続きますが、5月以降直ちに客足が戻るかは疑問です。これを契機に、産業構造が変わり、各社これまでの事業モデルの見直しを図ることもあり得るのではないでしょうか。

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