トヨタ自動車はソフトバンクやNTTと協力し、AI技術を駆使した次世代自動車を作ろうとしている。なぜ、自動車メーカーが先端技術に参入するのか。ジャーナリストの中村尚樹氏は「これまでのビジネスモデルに執着していては自動車メーカーの将来は危うい。今後のクルマに欠かせないのがMaaSとCASEの技術だ」と指摘する——。

※本稿は、中村尚樹『ストーリーで理解する 日本一わかりやすいMaaS&CASE』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

トヨタ自動車株式会社CEOの豊田章男氏が、ラスベガスで行われたCES2020において、将来的には175エーカーとなる「都市」開発のプランを明らかにした(2020年1月6日)
写真=AFP/時事通信フォト
トヨタ自動車株式会社CEOの豊田章男氏が、ラスベガスで行われたCES2020において、将来的には175エーカーとなる「都市」開発のプランを明らかにした(2020年1月6日)

車を所有せず、必要なときだけ利用する時代

MaaSとは、Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略で、「サービスとしての移動」を意味する。「移動のサービス化」とも呼ばれる。“アズ・ア・サービス”の世界では、製品を所有せず、サービスそのものが提供される。MaaSの場合、自動車やオートバイ、自転車などの移動手段を所有することなく、必要なときに、必要なだけ移動サービスを利用するということになる。

インターネットではクラウドを利用するが、リアルの世界ではどうするかと言えば、MaaSでは、公共輸送サービスを組み合わせて利用したり、一時的に移動手段を借りたりすることで、移動という目的を達成することになる。

日本の現状では、長距離の移動や道路渋滞のときなどを除いて、一般的にマイカーのほうがドアtoドアで便利だろう。しかしMaaSの時代が本当に実現すれば、公共交通を使った移動の利便性が向上し、マイカーの維持費を中心とした交通費の削減にもつながる。マイカーが減少することで、道路の渋滞緩和や大気汚染の改善も期待される。

高齢化が進む過疎地での交通弱者対策にも有効であり、交通事故の減少や駐車スペースの削減、人間優先の都市づくりにも役に立つ。電動キックボードをはじめとする各種マイクロモビリティのシェアリングなど、新たな交通サービスも検討されており、これまでとは違った社会が出現しそうな予感がする。