【社会:世の中を知る編】

歯医者さん、お坊さん、新聞記者も
しごとば』(ブロンズ新社・鈴木のりたけ)

鈴木のりたけ『しごとば』(ブロンズ新社)
鈴木のりたけ『しごとば』(ブロンズ新社)

絵本作家、鈴木さんの絵が圧巻。さまざまな職業の“道具”を通して、人の営みを事細かに実感することができます。『続・しごとば』『続々・しごとば』などのシリーズ作もお薦め。仕事場をじっくり観察し、道具の意味を考えることは社会科の学習に直結します。(岩坂)

憲法って何? 変えていいの? と考える
『憲法くん』(講談社・松元ヒロ、武田美穂)

松元ヒロ、武田美穂『憲法くん』(講談社)
松元ヒロ、武田美穂『憲法くん』(講談社)

コント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバー、松元ヒロさんと、「ちいさいモモちゃん」シリーズなどで知られる武田美穂さんによる絵本。楽しく語りかける文調ですが、憲法改正の意味など問題提起もされていて、考えさせられます。(岩坂)

21世紀のアフリカの実話から学ぶこと
風をつかまえたウィリアム』(さ・え・ら書房・ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー)

ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー『風をつかまえたウィリアム』(さ・え・ら書房)
ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー『風をつかまえたウィリアム』(さ・え・ら書房)

電気がないアフリカの小さな村で、ゴミ捨て場から使える道具を探し、風車を作り出すお話です。あきらめずに試行錯誤する大切さと共に、私たちに不可欠なエネルギーの選択をどう考えればいいのか、日本の社会問題に触れられる一冊です。(岩坂)

野球か鬼ごっこか、多数決を考える
こどものとうひょう おとなのせんきょ』(復刊ドットコム・かこさとし)

かこさとし『こどものとうひょう おとなのせんきょ』(復刊ドットコム)
かこさとし『こどものとうひょう おとなのせんきょ』(復刊ドットコム)

子供たちの遊びの世界では、意見のぶつかり合いは日常茶飯事。しかしそれは小さな社会の中での民主主義を考える第一歩です。子供が投票すること、大人が選挙をすること、そこから民主主義とは何なのかを感じることができる一冊です。(佐藤)

正解のない哲学的な思考力をつける
こころのナゾとき』〔成美堂出版・土屋陽介(監修)〕

土屋陽介(監修)『こころのナゾとき』(成美堂出版)
土屋陽介(監修)『こころのナゾとき』(成美堂出版)

“ふつう”ってなに? 友達っていないとダメなの? 死んだらどこへ行くの? 正解はないけれど、だからこそ考えることを楽しめるのです。「そもそも」と考える哲学的な学び、問いを持つ力、考える力を身につけることこそが社会科なのです。(岡田)

小学1・2年版小学3・4年版小学5・6年版があります。

素朴で普遍的な問いを考え抜こう
いっしょにいきるって、なに?』(朝日出版社・オスカー・ブルニフィエ)

オスカー・ブルニフィエ『いっしょにいきるって、なに?』(朝日出版社)
オスカー・ブルニフィエ『いっしょにいきるって、なに?』(朝日出版社)

最初の問いは「ひとりっきりで、生きてゆきたい?」。その問いに対して異なる意見や考えがあって……、思考の仕方を身につけられます。一人、尊重、意見、平等、仕事、リーダーについて考えていきます。考えるクセが身につく本。(岡田)

岩坂 尚史(いわさか・なおふみ)
お茶の水女子大学附属小学校 社会科部会
大阪府の私立四條畷学園小学校勤務を経て、2012年より現職。共著に『生活科で子どもは何を学ぶか』など。
佐藤 孔美(さとう・くみ)
東京都の区立小学校勤務を経て、2001年から現職。共著に『社会的価値判断力・意思決定力を育成する「市民」の学習』など。
岡田 泰孝(おかだ・やすたか)
「価値判断力・意思決定力を育成する社会科授業研究会」副代表。共著に『シティズンシップ教育で創る学校の未来』など。
(撮影=市来朋久)
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