わが子を必ず「社会好き」にする11冊
電車、お城に食べ物、興味に沿って世界を広げて!
「親御さんの思い描く社会科と、私たちが教えている社会科は違うかもしれません」
お茶の水女子大学附属小学校社会科部会の岡田泰孝さんはこう語る。社会科といえば、「歴史」と「地理」。年号を暗記して、地名を覚えて……。そう認識している人は多いだろう。
「もちろん、『暗記』も必要なんですが(笑)。グローバル化、情報化が当たり前の時代を生きる子供たちには、さまざまな情報や出来事を受け止めて主体的に判断する力、他者と一緒に生き、課題を解決していく力が必要になります。社会科は、その力をつける時間なんです」
子供たちの「世界観」をいかに広げるか。歴史も地理も、その「世界観」を広げるために学ぶもの。
同じ社会科部会の佐藤孔美さんも、「社会科は3年生から始まりますが、1、2年生のうちから、『身の回りのはてな』を探させます。点字ブロックってなぜあるの? など、はてなを持つことが、世界に目を向けていくことになるんです」と言う。
2年生を担当する岩坂尚史さんは、「クラスのルールを決めるなど、そうした話し合いも社会につながります。家族の中でもできますね」と語る。
身の回りのはてなが、地球規模の問題や過去の出来事に興味を持つきっかけになる。お薦め本も、そのきっかけの一つになりそうだ。
【社会:歴史が見える編】
絵画、兜、茶器、見るだけでワクワク
『橋本麻里の美術でたどる日本の歴史』(汐文社・橋本麻里)
縄文時代から昭和まで、歴史上の建築物や絵画などを見ることで、具体的にイメージが湧いて親しみながら読むことができます。それらの美術品をその時代の政治などに関連させながら解説しているので、歴史の入り口として入りやすいと思います。(岩坂)
戦争の怖さ、平和の尊さは知っておくべき
『はだしのゲン 愛蔵版』(汐文社・全10巻・中沢啓治)
日本で社会科を学ぶときに、やはり第2次世界大戦のことははずせません。社会科の好き嫌いにかかわらず、知っておいてほしいことです。作者が実際に体験したことを基に語るこの漫画は、戦争について深く考えさせられる大作です。(佐藤)