一方、日本では自主的に休むと手当がおりない
厚労省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」(2月28日現在)では、新型コロナウイルスに感染した従業員を休業させる場合の休業手当について、以下のような見解を示している。
感染が疑われる従業員については、
としている。マレーシアとの違いにがくぜんとする人も少なくないのではなかろうか。
さらに発熱等で自主的に休んだ従業員については、
とのことだ。休んだ場合の所得補償が万全でなければ、労働者は休むわけにいかないだろう。だが、「新型コロナウイルスかどうか分からない時点」で休ませなければ、感染拡大対策には絶対にならないのだ。
感染症の防止は事業者としての最低限の責務だ
安倍首相は2月29日の記者会見で、「ウイルスとの闘い」への決意は言葉を尽くして表明されたが、マレーシアで行われているような、感染拡大防止に向けた具体策は何ら示さなかった。労働者が所得に不安なく休める社会こそが感染拡大防止に非常に重要であるにもかかわらず、だ。その社会システムを構築するのは、まさに政治決断しかない。
具体的には、新型コロナの検査をするしないにかかわらず(仮に検査した場合でも、その陰性陽性にかかわらず)、「37.5度前後以上の熱が、少なくとも4~5日以上の期間にわたって遷延し、せきなどの呼吸器症状を伴う場合であって、インフルエンザやマイコプラズマなど他の感染症の確定診断がなされていないものは、新型コロナウイルス感染症として取り扱う」として「会社都合での就業禁止」とすべきである。ただ、これは最低限だ。先述したが、本来すべきはこの症状ほど重くなくとも「カゼ症状」なら擬似症として「会社都合での就業禁止」とするというのが、私の意見だ。
なぜ「会社都合」にすべきかと言えば、職場に感染症を蔓延させないということは、事業者としての最低限の責務であるからだ。これにより労働基準法第26条で規定されている、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当すれば、休業手当の支払いを事業者に求めることも可能になる。