「休め」と言うだけでは無責任すぎる

もちろんこれは正しい意見だ。しかしこれは厚生労働大臣ではない私にでさえも言えることだ。厚生労働大臣であるならば、「休め」と言い放つだけではいけない。全く不十分だ。誰でも「休めるものなら休みたい」のだ。「カゼでも絶対に休めない」という人たちを、いかに休ませるか、いかに休めるような制度を整えるのか、ということが、厚生労働大臣の仕事ではないか。

大手企業であれば、テレワークを導入したり、自宅療養中は無理に働かせず、場合によっては休業補償する体力もあることだろう。しかし、多くの中小企業や小規模事業者、さらに非正規労働者、パート・アルバイトの人たちは、休めるのか。休んだら、その日の日給はゼロ、それだけでなく解雇されてしまうリスクさえ抱えているのだ。

マスクで重装備、スーツ姿でカバン抱えて「仕事休めないんで、カゼ早く治したいので。新型も怖いし」と“カゼを早く治す薬”を希望し受診、薬を飲みながらそのまま出勤しようという、そういう人に「新型コロナウイルスはこうやって拡がって行くんですよ」と言うと、エッ?という顔をされてしまう、日常。

このような行動を取る人、取らざるを得ない人を放置したまま、「カゼをひいたら休みましょう」と厚生労働大臣が念仏のように唱えたところで、感染拡大防止には全くなり得ない。

マレーシアのガイドラインが素晴らしい

マレーシアのクラセガラン人的資源相は、2月6日、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた雇用者が従業員に対してとるべき対応ガイドラインを発表した。

◎「1955年雇用法」に基づき雇用者の負担で国から登録を受けた医師による検査を受けるよう従業員に指示すること。
◎登録を受けた医師より自宅もしくは病院における隔離指示を受けた従業員の有給病気休暇または入院休暇を認めること。政府はこうした従業員に追加の報酬を与えることを推奨する。
◎登録を受けた医師から隔離指示を受けた従業員には賃金を全額支払う。
◎登録を受けた医師から隔離指示がない場合、その従業員の就業を妨げない。ただし、雇用者は有給病気休暇を認めることにより、調子の悪い従業員の就業を止めることができる。
◎隔離期間中の従業員に年次有給休暇をとる、あるいは無給休暇をとるよう指示してはならない。
(出典=マレーシアナビ!

なんと素晴らしいガイドラインではないか。わが国でこの政策を実行することは不可能なのだろうか。